[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2022/04/08
抄訳記事公開日:
2022/05/20

欧州委員会が低炭素技術のためのERA産業技術ロードマップを発表

EU industrial technology roadmap calls for full speed development and scaling-up of innovative low-carbon technologies in energy-intensive industries

本文:

(2022年4月8日付の欧州委員会(EC)発表の「ERA産業技術ロードマップ」では、エネルギー集約型産業における革新的な低炭素技術のフルスピード開発とスケールアップを求めている。発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会(EC)はこのほど、低炭素技術向けの欧州研究圏(ERA)産業技術ロードマップを新たに発表した。これは、エネルギー集約型産業向けの主要な新興低炭素技術のリストのほか、研究・イノベーション投資を活用してエネルギー集約型産業での開発と取り込みを加速する方法を示している。このロードマップは、4月5日に提案された改訂版産業排出指令を補完し、欧州グリーンディールの下で発表されたEUの2050年汚染ゼロの目標到達に資するものである。本ロードマップは、大規模な産業施設からの産業汚染物質の排出を防止・管理するべく改訂された枠組みを導入している。

■主たる好機となるべきニーズ

▽2020年の欧州新産業戦略で言及されている、エネルギー集約型産業における低炭素技術のための産業同盟や類似プラットフォームの創設機会の評価。Horizon Europeにおける研究・イノベーション・パートナーシップ ”Processes4Planet”および”Clean Steel Partnership”との相乗効果、およびイノベーション基金や InvestEU などのEUの他施策との相乗効果を十分に活用する必要がある。
▽2022〜2024年 ERA 政策アジェンダの一部として、主要関係者による特定の国のセクターおよびセクター横断的な戦略またはプログラムの促進
▽低炭素産業技術の初めての実装認可を促進する実践コミュニティの設立。これは、欧州半導体法、規制ハブネットワーク、再生可能エネルギー施設の承認プロセスに関するEU勧告、Hubs4Circularity 実践コミュニティの下での、同様のアプローチに基づいて構築される。
▽中央(セクター横断)のグリーン発明に関する知的財産権(IP)を展開し、ライセンス供与(パテントプールなど)および知識移転のためのIPへのアクセス拡大の機会を産業界で探求することにより、さらなる成果利用を可能にする。
▽欧州標準化機構(CEN / CENELEC)との協力、および革新的な低炭素産業技術の標準化ギャップを特定して埋めるための産業パートナーシップ

■背景

加盟国、産業界、その他の関係者と共同で策定された本ロードマップは、主要な低炭素技術と、それらをEUおよび各国レベルのエネルギー集約型産業(化学、鉄鋼、セメント、その他産業)の産業エコシステムに移行する手段を示している。また、EUにおけるこれらの産業の地理的位置とそれらの温室効果ガス排出量のマッピングも提供している。

その分析は、Horizon Europe の “Processes4Planet” と”Clean Steel” の両パートナーシップに基づいている。この2つの官民パートナーシップは、プロセス産業、特に鉄鋼産業のカーボンニュートラル産業への転換をそれぞれ支援するものである。

これは、研究担当大臣によって合意された新たな2022~2024 年ERA政策アジェンダに該当するもので、特に研究・イノベーション成果の産業的取り込みの加速を求めている。調査結果はまた、改訂版の産業戦略で発表されたように、EUのエネルギー集約型産業エコシステムの今後の移行経路に研究・イノベーションの優先順位を提供している。

EUレベルでは、InvestEU プログラムにより、2027年末までに、低炭素技術の展開を含む、かなりの官・民投資を動員することが期待されている。また、イノベーション基金は革新的な低炭素技術の商業的実証のために、2020 ~ 2030 年の期間にわたって資金を提供する。

[DW編集局]