[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2022/03/23
抄訳記事公開日:
2022/05/20

DARPA、研究チームを選定、大型構造物の宇宙での製造計画に着手

DARPA Kicks Off Program to Explore Space-Based Manufacturing Eight teams selected to pioneer novel ways of designing and manufacturing large structures on orbit

本文:

(2022年3月23日付、国防高等研究計画局(DARPA)の標記報道発表の概要は以下のとおり)

国防高等研究計画局(DAPRA)の「新規月軌道製造・材料・質量効率設計(Novel Orbital Moon Manufacturing, Materials, and Mass Efficient Design)」(NOM4D)計画は、8つの産業および大学の研究チームと契約して進められている。選ばれたチームは、材料科学、製造、設計技術における基本的な概念実証を行い、打ち上げ時の容積制限なく軌道上で将来の宇宙構造物を製造できるようにすることを任務とする。軌道上で製造するために地球から原料を輸送し、月の材料を収集することが構想されている。NOM4D計画では、月面に構造物を建設することはない。すべての製造は軌道上の建設施設で行われ、その製造物は軌道上での応用に利用される。

DARPA国防科学室のビル・カーターNOM4Dプログラムマネージャーは、「現在の宇宙システムは、安定した軌道に打ち上げられ、最終的な運用形態に配備される前に、すべて地球上で設計、組立、試験される。太陽電池アレイ、アンテナ、光学システムなどの大型構造物では、大きさが性能上重要であるため、この制約は特に深刻である。NOM4D は、国防総省(DOD)の宇宙システムを支える構造物が、将来は宇宙環境に最適化された設計によって、打ち上げの制約なく地球外で建設されるという新しいパラダイムの実現を目指している。これにより性能の向上、堅牢性の改善、より高い軌道での運用、そして将来の地球・月間での応用が可能になる」と語った。

選ばれたチームは、宇宙へ原料を打ち上げ、月のサンプルを採取し、軌道上で構造物を構築したりすることはないが、軌道上での実験は後続の取り組みではありえる。

主な課題は以下のとおり。

1. 宇宙空間での材料および製造:軌道上でのダイレス製造プロセスの開発、軌道上でのレーザー成形の開発、高精密宇宙複合材成形プロセスの開発、レゴリス由来ガラスセラミックの構造物の連続製造の開発、レゴリスの材料特性データベースの構築

2. 宇宙空間での製造向けの質量効率の高い設計:宇宙構造物の新しい設計手法の探求、超高質量効率の大型構造物の設計の開発、新規の張力・曲げハイブリッド建造物および構造部品の設計

フェーズ1では、メガワット級太陽電池アレイを支持するという厳しい構造効率目標の達成、フェーズ2では、質量効率の向上と無線周波数(RF)リフレクタに対する精密製造の実証、そして最終フェーズでは、赤外線(IR)リフレクタの精度の実証が課題となる。

「現在の宇宙技術の趨勢が続けば、10~20年後にはNOM4Dによって製造された部品から大型構造物を組み立てるうえで十分なロボット操作、軌道上での可動性の向上、軌道上施設への日常的な燃料補給など、NOM4D で開発され進歩した技術や能力をDODがフルに活用できると期待している」とカーター氏は述べた。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]