[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2022/03/17
抄訳記事公開日:
2022/05/20

コロナ感染後の免疫防御のためのブースター接種の予防効果

Booster für den Immunschutz nach Corona-Infektion

本文:

(2022年3月17日付、マックスプランク協会(MPG)による標記報道発表の概要は以下のとおり)

ヒトの免疫系がコロナウイルスSars-CoV-2と接触すると、それに反撃し、抗体を産生する。同様の免疫応答がコロナ・ワクチンによって引き起こされるが、免疫防御の強さと耐久性に関するデータはまだほとんどない。ドルトムント工科大学に付属したライプニッツ労働研究所のカルステン・ヴァッツル(Carsten Watzl)所長が率いるチームは、MPG分子生理学研究所およびドルトムント大学病院と協力して、オリジナル変異型によるコロナウイルス感染から300日後でも、治験者に高レベルの中和抗体を検出した。さらに、回復した患者は、完全なワクチン接種後、事前感染なしのワクチン接種者よりも、約5倍高い抗体レベルを示した。これらのことから、他のコロナウイルス変異型による新たな感染の場合でも、明らかに病気が重症化しないように制御される。
ウイルスは、スパイク・タンパク質を使ってヒト細胞に結合し、感染する。「このタンパク質の一部、より正確には細胞によってドッキングする領域を、試験管内で高純度に生産することができた」とMPG 分子生理学研究所のタンパク質生産責任者であるヤン・エリク・ホフマン(Jan-Erik Hoffmann)氏は報告している。
ドルトムント大学病院からの正確なコピーと血液サンプルにより、ライプニツ研究所の研究者は、コロナウイルス抗体の、信頼性が高く有意義な検出システムを開発することができた。
回復した患者におけるワクチン接種後の、より高い抗体レベル:
スパイク・タンパク質に対する中和抗体の有効な量が、陽性となった治験者のほとんど全員から検出された。300日後でも、4人の治験者のうち3人の抗体レベルは、ほとんど低下していなかった。
周知のようにウイルスは進化しているので、オリジナルのウイルスに対する免疫性では防御力が著しく低下している。そこで研究者は、アストラゼネカ社とBioNTec社製のワクチンによる接種が免疫系におよぼす影響について調査した。驚くべきことに回復した治験患者は、ワクチン接種完了後に、先行感染していないワクチン接種者よりも、最大5倍の中和抗体をつくり出したことである。これによって、現在の変異型からも、より良く防御されることになる。
ヴァッツル所長は次のように述べている。「我々の研究は、パンデミックの前と最初の数週間からの血液サンプルを入手できたという点で他と異なっている。それにより治験者がすでに感染しているかどうかを正確に把握することができた。もちろんオミクロンのような新しい変異型があるので、ゲームのルールは変わったものの、免疫が実際にどれくらい持続するかを知ることは、他のコロナウイルス変異型に新たに感染した場合に、重篤にならないようにするために、重要である。現在、共同開発したテストシステムを用いて、Covid-19ワクチンに対する免疫効果と、様々なコロナウイルス変異型に対する予防効果を調査している」

[DW編集局]