[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2022/04/22
抄訳記事公開日:
2022/05/27

NSFがコンピューティング分野の大規模プロジェクトへの資金提供を発表

NSF announces 2022 Expeditions in Computing awardees

本文:

(2022年4月22日付、国立科学財団(NSF)の標記報道発表の概要は以下のとおり)

国立科学財団(NSF)が、2022年の「コンピューティング探求(Expeditions in Computing)」プログラムの受賞者を発表した。2つの受賞チームは、超伝導の材料・デバイス・回路のイノベーション、および有機ニューロンベースの計算システムの開発など、新たな変革的計算技術の探求に向けた野心的な取り組みを計画している。

NSFは、過去の成果を活用し、将来にわたって継続してコンピューター情報科学と工学研究開発を前進させる変革的機会を創出するために、Expeditionsプログラムを創設した。今回の投資は、新しいコンピューティング技術や情報科学・工学を推進する基礎研究を発展させるというNSFミッションの一環であり、7年間で各受賞者に1,500万ドルの資金を提供する。

2022年の受賞プロジェクトは以下のとおり。

1 試験管内の心:生きている神経細胞を使ったコンピューティング
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のチームが率いる本プロジェクトは、生物学的プロセッサーの製造、モデル化、プログラム、スケーリング、および具現化のための科学技術を開発する。長年にわたり、科学者たちは細胞をコンピューティング・エレメントにするために取り組んできた。現在、チームは、生きた神経細胞ベースのコンピューティングシステムを開発している。これらは、幅広くプログラム可能で、刺激に反応し、環境に適応する。同プロジェクトで使用される技術は、細胞基質が記憶を呼び戻すことを妨げていた障壁を打ち破り、アルゴリズムと動作へと記述・構成される。

この研究の将来応用は、神経科学(生きたモデルを組み立てて、特定の行動が現れる条件をテストする)から、予期しない状況、問題、機会をナビゲートする創造的なロボット、さらには能力を保存して成熟・進化させるコンピュータメモリの種類にまで及ぶ可能性がある。

2 DISCoVER:超エクサスケール実現の先にあるベンチャーのための超伝導コンピューターの設計・統合
南カリフォルニア大学のチームが主導する本プロジェクトでは、相補型金属酸化物半導体の後のコンピューティング技術として、新しい超伝導エレクトロニクスを探求する。超伝導エレクトロニクスは、超高性能とエネルギー効率を大規模に実現する。本プロジェクトは、集積エレクトロニクス、持続可能なエクサスケール計算、機械学習(ML)の加速により独創的なイノベーションへの道を開く。また気候変動の影響のモデリング、地下資源の検出、個別医療・ヘルスケア向けの医薬品設計の強化、革新的なスマート材料およびインフラの開発を容易にする計算パラダイムを実現する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]