[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相官邸
元記事公開日:
2022/05/02
抄訳記事公開日:
2022/05/30

国、グラン=テスト地域圏、公共投資銀、地域銀が「地域PIA」締結

France 2030 l Signature de la convention régionale PIA/France 2030 entre l’Etat, la région Grand-Est, Bpifrance et la Banque des Territoires

本文:

(2022年5月2日付、首相官邸の標記発表の概要は以下のとおり)

フランス東部グラン=テスト地域圏の共和国委員会、同地域圏政府、フランス公共投資銀行、およびフランス地域銀行は4月28日、国主導の投資プログラム「地域特化型PIA」(※)の4者協約に調印した。このプログラムは国の5か年計画「フランス2030」と一体化しており、同地域の中小企業やスタートアップ企業のイノベーションを支援するために、2022~25年に国と地域圏が均等に負担し、計8,200万ユーロを投資する。

このプログラムは、地域圏の事業やそれに類する取り組みに国が4,100万ユーロ強を投資することに加え、同地域圏が同じ規模の投資(自治体からの配賦予算のほか、欧州基金)を提供する。これにより、投資規模は従来のプログラムの2倍となり、合計で8,200万ユーロになる。

現在の「地域特化型PIA」は、5か年計画「フランス2030」に予算枠が統合されており、1) 地域の復興促進、2) 地域のレジリエンス強化、3) 生態系・エネルギー・デジタルおよび医療の課題の移行促進と対応という3つの優先課題に基点を置く。

各課題分野間の最初の配分内訳は2021〜22年の間に決定され、残りは、成果やプロジェクトに応じて新たに配分の対象とされる。資金支援は、支援対象プロジェクトの成熟度に応じて、補助金または返済可能な前払金の形で提供される。地域協定は、「地域特化型PIA」を実施する場合の手順を規定している。

公共投資銀と地域銀は、国と地域圏の決定に関連する指導・契約締結の実行機関としての役割を果たす。公共投資銀はイノベーション・研究・開発プロジェクト、業界プロジェクトの運営者としての役割を果たし、地域銀はエンジニアリング職業訓練プロジェクトを主導する。

■グラン=テスト地域圏で「地域特化型PIA」が関与する4つの合理性

「地域特化型PIA/フランス2030」には、次の4つの関与領域が含まれる。

1)イノベーション・プロジェクト
各分野のリーダーとして、全国規模で展開できる企業の統合・出現の促進を目指す。支援策では、特に事業法変更による課題と推進要因(エコロジー移行、デジタル変革、インダストリー5.0、医療)において、グラン=テスト地域の中小企業・中堅企業によって実施される個々の野心的なイノベーション・プロジェクトを支援する。
具体的な実用化の見通しを備えたイノベーションの開発・調整は、補助金や返済可能な前払い金を通じて支援される。プロジェクトに割り当てられる援助額は、7万5,000ユーロ~ 50万ユーロである。

2) 業界プロジェクト
目的は、生産または研究インフラ共有手段の使用を可能にし、強力な可能性を秘めたバリューチェーン内の地域経済主体集合体の統合強化を目指すことにより、業界の戦略的競争力強化を図ることである。
支援対象プロジェクトは、特定の産業セクターとその組織化に対する具体的かつ決定的な貢献を実証する必要があり、特に当該セクターの複数の中小企業(SME)または独立した中堅企業(ETI)に利益をもたらす必要がある。また、事業法変更による課題と推進要因(エコロジーの移行、デジタル変革、インダストリー5.0、医療)にも対応する必要がある。
セクター組織化プロジェクトへの支援は、補助金や返済可能な前払金の形で行われ、割り当てられる援助額は 20万ユーロ~500万ユーロになる。

3)共同研究・開発プロジェクト(複数の企業・学術関係者で構成されるコンソーシアムを対象とする いわゆる i-Demo プロジェクト公募)
この領域では、SMEやETIを含む産業パートナーと研究パートナーのコンソーシアムが主導する共同研究・開発プロジェクトを支援する。これらのプロジェクトは、有望な市場における産業・サービス企業の成長、地域の経済に対する価値と競争力の創造に貢献するだけでなく、エネルギー、生態系、デジタル、医療の課題への対応にも参画する必要がある。
研究・開発プロジェクトへの支援は、補助金の形で行われる。国のその他の制度、特に国の i-Demo コンポーネントとの適切な調整を確実にするため、この領域のプロジェクトの支出ベースは100万~400万ユーロである。

4)エンジニアリング職業訓練プロジェクト
革新的なソリューションにより、経済的・組織的な変化が見込まれる企業を支援する必要がある。これにより、新たな職業に向けたスキルの開発が可能になる。これらのプロジェクトは、トレーニング実施機関と協力して、革新的なトレーニング・オファー(教育方法、ツールなど)を策定することにより、企業が表明したニーズに対応する必要がある。
エンジニアリング職業訓練プロジェクトへの支援は補助金の形で行われ、割り当てられる援助額は20万ユーロ〜200万ユーロである。

 

(※)地域特化型PIA(PIA Régionalisé)
国と地域の共同投資によって、地域の中心にある中小企業のイノベーションを支援し、地元関係機関に主導的な役割を与えるためのプログラム。国の1ユーロ投資に対し、地域圏政府が1ユーロを投資する原則がある。この結果、本プログラムは全国で計10億ユーロの公的資金を動員する。政府外から科学技術・イノベーションへの投資を募るファンディングプログラム「第3次将来への投資プログラム」(PIA3)の一環として2017年に開始。PIA4(2021~2025年)のもとで2倍になり、現在は5か年計画「フランス2030」に予算枠が統合され、2億5,000万ユーロから5億ユーロに増加している。

[DW編集局+JSTパリ事務所]