[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2022/05/10
抄訳記事公開日:
2022/06/07

グリーン・医療・デジタル・イノベーションとウクライナ難民研究者支援のためにHorizon Europe予算を増額

Commission boosts Horizon Europe budget to support green, health and digital innovations and displaced researchers of Ukraine

本文:

(2022年5月10日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり)

欧州委員会(EC)はこのほど、Horizon Europeの2021~22年ワークプログラムの修正案を採択し、予算を5億6,200万ユーロ近く増額し、グリーン、医療、デジタルの課題に対する革新的なソリューションに向けたEUミッションと、欧州のイノベーション・エコシステムを後押しするさらなる施策を追加支援する。Horizon Europeの2021〜22年の予算は、総額約160億ユーロに達している。

上記追加額のうち、5億710万ユーロが5つのEUミッションに充てられる。

・気候変動への適応ミッション
1億2,620万ユーロを投資する。これには、「北極海と大西洋の海盆における沿岸回復力」の共同実証実験を実現するための、「2030年までに海洋・水域の復元」ミッションとの共同公募への貢献分が含まれる。2022年に、気候変動への適応ミッションは、気候変動の影響を受ける主要分野に対処するソリューションの開発・試験を支援する。

・がん対策ミッション
1億2,956万ユーロを投資して、がんの一次予防を改善・拡大し、包括的ながんインフラの研究能力を強化し、難治性がん患者の治療を最適化するための臨床試験を可能にする。

・海洋・水域の復元ミッション
1億1,790万ユーロの予算を活用する。これには、海洋および淡水の生態系と生物多様性の保護および復元、海洋・海域・水域の汚染の防止および排除、持続可能でカーボン・ニュートラルな循環型ブルーエコノミーの創出を目的とした、「気候変動への適応ミッション」との共同公募への貢献分が含まれる。

・欧州土壌ディールミッション
9,500万ユーロの予算を活用して、とりわけ、新たに「ミッションの知識リポジトリ」を構築し、生態系サービスにおける土壌生物多様性の役割を調査し、土地の除染と再利用の戦略を特定する。

・気候中立・スマートシティに関するミッション
2022年における本ミッションの支援策は、1億1,937万ユーロの予算であるが、これは2021年12月に採択されたワークプログラムの修正にすでに含まれている。今回の修正では、気候中立・スマートシティに関するミッション・プラットフォームの予算が約625万ユーロ増加され、ミッションに参加するために選抜された都市に追加の支援を提供する。

今回の修正には、ロシアの侵攻以前にウクライナで活動していた研究者を支援する施策も含まれている。例えば、マリーキュリーアクション(MSCA)の一環として、2,500万ユーロの予算で、避難した研究者は EU加盟国またはHorizon Europeの準加盟国の学術または非学術の受入機関で研究を継続することができる。

さらに、今回の修正では、欧州のイノベーションの潜在力を支援するために、いくつかの新規施策が追加された。Horizon Europeの一(いち)プログラムである欧州イノベーション・エコシステムでは、(今年は100人以上の女性主導の新興企業を支援する予算が3倍(1,000万ユーロ)になる)WomenTechEU の継続と、EUにおけるエンジェル投資(200万ユーロ)の創設・育成に関する新しい施策がある。クラスター2の「文化、創造性、包摂的な社会」では、文化・創造的産業向けの協調的なプラットフォームやネットワークの創設支援(600万ユーロ)、グリーン移行政策の社会的影響評価(300万ユーロ)、民主主義の未来のための革新的ソリューション(300万ユーロ)のほか、公共セクター・イノベーションの観測支援(150万ユーロ)が追加分に含まれる。ワークプログラムに対するその他の軽微な調整も、総額320万ユーロで追加された。

[DW編集局]