[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
キャリテ・ド・ラ・シアンス・フランセーズ
元記事公開日:
2022/05/05
抄訳記事公開日:
2022/06/14

QSF、大学の現状について大統領に「提言」書簡を送る <2>=完=

Lettre au Président de la République sur l’état de l’université

本文:

(第1回よりつづく)

■博士課程と博士号取得者の雇用について

国の研究ポテンシャルの刷新には、博士課程に関する手厚い政策が必要である。博士課程への入学は、準備の後、博士号授与の場合と同様に資格審査委員会での口頭発表を条件とする必要がある。一般に博士論文はすべて、博士課程の要請に応じ、それぞれ特定の資金支援を受けるべきである。この場合、指導教官やその他の恩恵を受けるべき公務員は対象外とする。

■研究の資金支援と管理について

第一に不可欠なことは、公的研究予算を増やし、維持することである。しかし、今や非生産的で、多くの管理ミスの原因となっている予算配分システムの実質的な再編を実行することも必要である。

■各機関のガバナンスと自律性について

これまでの5年間は、そして2021年に施行された複数年研究予算法(LPR)は、大学のガバナンスにおける管理上のシフトを確認したにすぎない。この転換は、病院の場合と同様に、公共高等教育にとっても疑わしいものである。大学は企業ではないので、科学的・教育的魅力の観点を除き、機関間の競争には意味がない。教育機関の科学的・教育学的方針による運営は、他の管理業務とは慎重に区別する必要があり、教職研究者のグループ(教授会)が責任を負う必要がある。中央評議会での学生代表は、学長多数派へのバックアップ力を構成するべくあまりにも頻繁に選ばれる外部人格の役割と同様に、見直されるべきである。

■教師人材育成について

教師の初期および継続的な教育の質は、大学にやってくる学士号取得者の質的な「レベル」に依存する。このレベルの問題は、最終学歴だけでなく、小学校からも発生する。しかし、今日の初等・中等教育は、学生がフランス語を習得することを保証するだけであり、科学的推論の準備をしていない。したがって、次世代の科学に対する無関心は大きい。これはフランスにとって時限爆弾であり、私たちが考えるよりもはるかに速く技術的な格下げによる結果をもたらすことになる。

■学問の自由について

学問の自由はこの5年間、白熱した議論の対象となってきた。過去2年間は、注目を集める複数の事件と、学界における「イスラム左派」をテーマにした混乱した論争によって特徴づけられてきた。このテーマに関して、QSFは、方向性について議論できる研究(主に人文・社会科学)と、言論の自由または教育の自由を妨げることを目的とした過激派グループの行動とを区別する必要性を常に強調してきた。前者は査読の対象であり、後者は施行されている法規制の枠内で大学学長による措置を必要とする。この問題についての混乱を中止することが第一に重要なことである。

(おわり)

[DW編集局+パリ事務所]