[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学審議会(NSB)
元記事公開日:
2022/04/28
抄訳記事公開日:
2022/06/16

科学工学指標2022:世界経済における研究開発の役割の拡大

Two new reports show the growing role of R&D in global economy

本文:

(2022年4月28日付、国家科学審議会(NSB)による標記記事の概要は次のとおり)

2019年、世界の研究開発費は2兆4,000億ドルであった。これは研究開発が経済的成長と国家的・世界的課題への対処にとってますます重要になっていることを表している。米国は世界の総研究開発実績の28%を占めて世界をリードしており、次いで中国が22%を占めている。米国と中国はまた知識・技術集約型産業(KTI)の生産高でも、最大の生産国として世界をリードしている。これらは、NSBから本日出版された「研究開発:米国の動向と国際比較」と、先週出版された「知識・技術集約型産業の生産と貿易」の中で、これらの調査結果が紹介されている。

この2つの報告書はNSB指導の下、国立科学・工学統計センター(NCSES)で作成された新しい報告書で、米国議会により義務づけられている「科学工学指標」レポート2022年度版の一部である。

米国研究開発費はおおむね急速に増え続けているが、連邦政府による基礎研究投資の割合は減少傾向にある。「これは問題である。なぜなら連邦政府だけが新しい知識創造に戦略的で長期的な投資を行うことができ、民間企業では負いきれないリスクを支援しているからである。今日の研究開発集約型企業が存在しているのは、ある意味、研究が応用されるようになるずっと以前から、連邦政府が基礎研究に投資してきたからである。」と、NSBメンバーの一人は述べている。

KTI産業は経済を活性化させ、健康から国家安全保障に至るまで幅広い課題に対処する革新的な製品や技術を生み出す。2019年に、米国のKTI産業は570万人の科学工学労働者を雇用し、そのうちの26%は外国生まれであった。

「米国は長年世界中から集まる人材に頼っており、特に、人工知能(AI)やバイオテクノロジーのような、重要・新興技術に不可欠な学位分野において顕著である。米国はこれからも外国から才能ある人をひきつけ、国内の才能も積極的に開発する。両方共に米国の経済と国家安全保障にとって重要である。」とNSB会長は言う。

報告書の他の要点:
▽中国の研究開発費総額は2010-2019年の間、年に10.6%増加しており、米国の5.6%をはるかに上回り続けている。
▽米国の研究開発強度(GDPに対する研究開発費の割合)は2019年に初めて3.0%を上回った。
▽米国は世界最大のKTIサービス生産国であり、中国は世界最大のKTI製造国である。
▽米国のKTI生産は地理的に偏っており、KTI産業が国内で生み出す総付加価値の76%を15の州が占めている(カリフォルニア25%、テキサス8%、ワシントン6%、ニューヨーク5%)。
▽コロナ禍(2019-2020)でGDPが下降したにも関わらず、KTI産業が生み出す付加価値は増加した。リモートワーク・学習を支援する製品やサービスを提供する産業や医療製品を提供する産業が、この生産増を牽引した。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]