[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/05/04
抄訳記事公開日:
2022/06/20

バイデン大統領が量子技術の推進に向け2つの行政指令を発表

FACT SHEET: President Biden Announces Two Presidential Directives Advancing Quantum Technologies

本文:

(2022年5月4日付、大統領府の標記報道発表の概要は以下のとおり)

本日、バイデン大統領は、量子情報科学(QIS)における国家イニシアチブを推進するための2つの行政指令に署名した。これらの指令により、量子コンピューターが米国の国家的・経済的安全保障にもたらすリスクを軽減し、非常に有望な科学技術分野で米国のリーダーシップを継続的に確保するための基礎を構築する。

米国は長年にわたり、QISのような新技術開発において世界を主導してきた。 QISのブレークスルーは、エネルギーから医療まで、米国経済全体のイノベーションを推進し、新しい産業、高給の仕事、すべての米国民のための経済的機会を創出する。

こうした取り組みを加速するため、バイデン大統領は大統領令を発出し、量子情報科学技術に係る連邦政府の主要な独立した諮問機関である国家量子イニシアチブ諮問委員会(NQIAC)を強化し、大統領府の直属の組織とする。これにより、大統領、議会、連邦省庁、一般市民が量子情報科学技術に関する最新情報を得られるようにし、政策立案と技術的優位性を推進する。

また、大統領は、量子コンピューターが米国のサイバーセキュリティに及ぼすリスクに対処するための政府の計画を概説した国家安全保障覚書にも署名する。米国国立標準技術研究所(NIST)は、量子コンピューターを使った攻撃から保護するための、新しい量子耐性暗号の標準を発表する予定である。米国の最も脆弱なITシステムをこれらの新しい標準を満たすように移行させるプロセスには、期間、資金、およびコミットメントが必要であり、直ちにプロセスを進めなければならない。

同覚書の具体的内容は以下の通り。

▽米国を技術開発、特に量子情報科学の世界的リーダーであり続けるよう位置づけ:QISの経済的・科学的メリットや新しい暗号化システムのセキュリティ強化を実現するため、政府・社会全体の取り組みを求めるよう、連邦政府機関に指示する。また、量子教育プログラムや人材育成イニシアチブの推進政策を示し、基礎的研究の協調的なアプローチを強調し、産業界、学術機関、同盟国などとの連携強化を奨励する。

▽連邦政府と民間部門の協力を開始:NISTは、その傘下の「国家サイバーセキュリティ・センター・オブ・エクセレンス(NCCoE)」に研究開発プロジェクトや産業界とのオープンな作業グループを設け、量子耐性のある暗号化標準技術の創出と導入促進を進める。

▽連邦政府機関が暗号化システムを更新するための要件を設定:量子耐性暗号の標準化への完全移行における複雑性や所要資金・期間を考慮し、関係機関が、移行の必要があるITシステム目録を作成し、特定の中間目標を設定し、それを達成するための作業工程を提供する。

▽米国技術を保護:米国の知的財産、研究開発、その他の機密技術を敵対者による取得から保護し、直面する脅威について産業界・学界を教育するための包括的な計画を策定するよう連邦政府機関に対して指示する。イノベーションと継続的な成長を促進する競争力のある公正なグローバル市場を確保するため国際連携を奨励していく。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]