[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会(FhG)
元記事公開日:
2022/05/02
抄訳記事公開日:
2022/06/24

ロボ・グラインダー:AIと制御技術を組み合わせて信頼性の高いシステムを構築

Künstliche Intelligenz – aber bitte vertrauenswürdig!

本文:

(2022年5月3日付、フラウンホーファー協会(FhG)による標記報道発表の概要は以下のとおり)

これまで企業経営者の人工知能(AI)に対する信頼はあまり高くなく、そのため多くのプロセスが今でも手作業で行われている。「ロボ・グラインダー“Robo Grinder”」は、AIと制御技術を組み合わせることで、信頼性の高いシステムを構築することができる一例である。フラウンホーファーメカトロニクスシステムデザイン研究所(IEM)が開発した研削盤によって、研削プロセスの最大40%の削減が図られた。5月30日から6月2日まで開催の産業見本市ハノーファー・メッセ2022FhG共同ブースでこれを展示する予定である。
IEMの「トラステッド・マシン・インテリジェンス(Trusted Machine Intelligence)」のグループ・リーダ-であるコッペルト(Steven Koppert)氏は次のように説明している。
「我々は制御技術などの実証済の従来技術と新しいAIを組み合わせている。制御工学の多くは、分析し信頼することができる物理的・数学的モデルに基づいているが、AIは通常、データのみに依存し、創造的な課題を解決している。これら2つのアプローチを組み合わせることで、柔軟で信頼できるシステムまたは信頼できるマシン・インテリジェンスが得られる」。

ロボ・グラインダー:インテリジェンスを備えた研削盤:
ロボ・グラインダーは、機械製作会社Düspohlで初めて、窓枠や巾木にフィルムを貼る時に、フィルムを部品に押し付けるゴムのようなローラーの研削工程の自動化に用いられた。ローラー材料は、非常に弾力性があり、研削後に跳ね返る挙動をモデル化して制御工学アプローチに組み込むことは非常に難しいことが問題だった。
コッペルト氏は、「それぞれの研削プロセスで生じる欠陥を記録し、それを使ってAIモデルをトレーニングし、それによりAIは微調整の際に補正することができる。比較的に、制御技術は「ガードレール」として機能し、AIは「道路のカーブを最適に走り抜けできること」を保証している」と述べている。建築部材や家具業界のプロファイルラッピング企業にとって、これは数分以内に自社工場でスペアパーツを再生できることを意味している。

研削工程を最大40%削減:
フラウンホーファーIEMの研究者たちは、まず研削工程をデジタル空間上にマッピングした。その結果、ロボ・グラインダーは粗い寸法から公称寸法に再研削する際に、研削工程を15%削減することができた。使用済みのロールを再研削する場合、その利点はさらに明確になる。コッペアト氏は「デジタル・ツインを使用することで、研削プロセスを最大40%削減できることが実証された」と述べた。ロボ・グラインダーのさらなる利点としては、目標寸法が保証され、ワークピースの形状がレーザスキャナによって独立して認識され、加工プロセスが自動的に構成される、さらにセットアップ時間も計画から完成まで数分しかからないことが挙げられる。
信頼できる方法で手動プロセスを自動化したいが、従来の自動化技術では不可能であると考えてきたあらゆる分野の企業にとって、今回の見本市で発表する試作品は、興味深いものとなるはずである。信頼できるAIの開発方法論は、普遍的に適用可能であるからである。

[DW編集局]