[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
フランス投資銀行(Bpifrance)
元記事公開日:
2022/05/18
抄訳記事公開日:
2022/06/23

公共投資銀、ディープテック新興企業の諮問機関設置を支援へ

Bpifrance lance un nouveau service pour faciliter la constitution d’advisory boards pour les startups Deeptech

本文:

 フランス公共投資銀行(Bpifrance)は、ディープテックの新興企業が第三者機関を持つための、新たな支援に乗り出す。第三者機関として適任の個人や団体をあっせんする「タンゴ」(Tango)というマッチングサービスで、新興企業の戦略分析や経営判断を助けることが狙い。

 2019年に国から公共投資銀に委託された「ディープテック計画」は、2030年までにディープテックの新興企業を年間平均で500社ずつ出現させ、将来的に産業界のリーダーを育てたいとの目標がある。さらに25年までにディープテックのユニコーン企業を10社出現させるとともに、30年までに年間50か所の工業立地を達成したい、との目標もある。しかしこうした目標実現には、とりわけ研究畑出身の起業家の経営能力を高めることが重要とされる。公共投資銀が1,200人の起業家を対象に実施した調査では、ディープテックの新興企業で科学者と企業経営者が互いに補完し合うことで資金調達の機会を50%増加させられた、とのデータがあり、能力の相互補完がディープテックで成功する要因といえる。

 今回の「タンゴ」により第三者機関の適任者のあっせんを受ける新興企業は、自社の戦略的考察やプロジェクトを強化し、自らの立ち位置を一歩引いて把握することができる。第三者機関は企業内では独立した専門家グループであり、取締役会とは異なり企業との間に上下関係はない。ディープテック新興企業は、自らが採用したい「アドバイザー」のイメージをオンラインで公開し、この情報が、候補となりうる個人や団体に広く通知されるという。毎年150の第三者機関を設立し、1,500人のアドバイザー候補者のコミュニティを結成することを目指している。

 公共投資銀は2021年9月にも、技術移転やイノベーションの企業など約20社と協力して「Les Deeptech.fr」プラットフォームを立ち上げている。これは起業経験を持つ経営者と理系出身のプロジェクトリーダーとをマッチングさせる試みで、「企業プロフィール」候補者の登録が1,550人、ディープテックのプロジェクトリーダーによる公開オファーが116件、両者の提携が30件実現するなどの実績を挙げたが、この過程で「タンゴ」が構想されたという。

[DW編集局+JSTパリ事務所]