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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州防衛機関(EDA)
- 元記事公開日:
- 2022/05/17
- 抄訳記事公開日:
- 2022/06/29
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欧州防衛機関(EDA)が防衛イノベーションハブ(HEDI)を創設
- 本文:
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(2022年5月17日付、欧州防衛機関(EDA)の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州防衛機関(EDA)内にEU防衛イノベーションハブ(HEDI)を設立することが、このほど承認された。このハブは、加盟国およびEU関係者と緊密に協力して、EDAの既存のイノベーション活動を強化するだけでなく、新たな活動も開始する。
HEDIは、加盟国間の防衛イノベーションに関する協力を刺激、促進、支援するためのプラットフォームとして機能すると同時に、関連する欧州委員会の活動、特にEU防衛イノベーションスキームとの相乗効果、および北大西洋防衛イノベーションアクセラレータ(DIANA)などのNATOにおけるイノベーションイニシアチブとの成果の一貫性を確保する。
HEDIは、EDAの既存のイノベーション活動の交流拠点で運用することで、触媒および増幅器として機能する。EDAの既存のイノベーション枠組みには、協調的な防衛イノベーションの支援に必要なツールが含まれており、次の3つの柱を基盤とする。すなわち、①革新的なアイデアやイノベータの特定、②これらのアイデアの実装、③開発されたソリューションとその防衛領域への適用について認知度を高めるための支援ーーである。HEDI の活動は、能力開発(能力開発計画)、防衛研究(包括的な戦略研究アジェンダ)、産業能力(主要な戦略的活動)について合意されたEUの優先課題に焦点を当てる。
■3段階のアプローチ
ハブが徐々に成長し、その役割を果たすために、3つの段階が定義されている。
・第1段階:
EUレベルでのイノベーションを鼓舞し促進する。この立ち上げ段階では、ハブはネットワーク活動と状況認識活動に焦点を合わせ、既存のEDAリソースを最大限に活用する。この初期段階で展開される活動には、EU全体での最も優れたイノベーション慣行の交換、および2022年5月31日の第1回欧州防衛イノベーションデーの開催が含まれる。HEDI は、欧州における防衛ノベーションの「共通像」の作成にも貢献する。この目的のために、利害関係者グループやワークショップを組織するとともに、防衛イノベーション組織や研究者のネットワークを創設・管理し、彼らを年に1~2回、これらのテーマに関する意見交換に招待する。・第2段階
加盟国とEU機関全体のイノベーションを促進する。この第2段階では、既存のEDA防衛イノベーション賞のグレードアップ(授与される賞の数と対象となる領域数の増加)、革新的なアイデアの概念実証へのファンディング、欧州防衛イノベーションショーの開催、いわゆるイノベーションチャレンジ(原理実証から最小実行可能製品までの開発の短いサイクルを対象とした特定の研究・技術手法)のパートナーとの協力による立ち上げ、能力開発に向けたイノベーション・アイデア/構想の採用を支援する特定施策、などの活動をHEDIが推進する。・第3段階
HEDIを、EUの能力開発プロセスに組み込まれた共同設計・実験向けのEU全体のプラットフォームにする。実施すべき活動は、後半の段階で加盟国によって決定される。HEDIは、既存のEDAの枠組みに組み込まれ、EDA職員が配置される。このほど承認されたガイドラインによると、新たなハブの立ち上げは、既存のEDA活動を犠牲にして行われるべきものではないとのことである。EDAの3年間の計画枠組みの下で機能し、開始段階では1年毎に報告と評価が行われる。EDAは、定期的に、進捗状況と今後の方向性、特にその影響、学んだ教訓、段階的な実施計画の更新の可能性について、運営委員会に報告するものとする。運営委員会は、HEDIの進捗状況と次年度の活動提案を評価する。
HEDIの創設につながった作業は、2021年5月に外務評議会が防衛イノベーションの促進におけるEDAの役割の強化を求め、2021年末までにオプションを提示するようEDAの責任者であるJosep Borrell氏に課したのが始まりである。その(そして現在承認されている)オプションの中に、EDA内にEU防衛イノベーションハブを設立することが提示されていた。
[DW編集局]