[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2022/05/06
抄訳記事公開日:
2022/07/01

困難な時代の道標としての科学:2022-23年国会会期に向けた王立協会の提案

Science as a Guiding Light in Challenging Times: Royal Society proposals for the 2022-23 parliamentary session

本文:

(2022年5月6日付、王立協会の標記発表の概要は以下のとおり)

今は、英国とその市民にとって困難な時期である。多くの人々が COVID-19 パンデミックの過程で個人的に深刻な悲劇を経験しており、加えて我々は今、世代で最悪の生活費上昇の危機に直面している。

今後5年間で研究開発への公共投資を促進するという政府の取り組みは歓迎すべきもので、これらの目標達成に向けた進歩を支援するものである。しかし、この増額を最大限に活用し、差し迫った最大の課題に取り組むことを支援するために、来たる国会会期中にとるべきさらなる措置がある。王立協会はこの文脈において、以下の取り組みを今年の女王演説に含めるよう提言する。

■英国の経済・社会的便益のために研究開発を有意義に支援する

・政治的サイクルに左右されない科学の長期計画の法制化を図る
・政治的膠着を解決して、Horizon Europe を含むEU研究プログラムへの英国の関与を確定すせる
・他の科学大国と同様にビザ料金を削減する計画を前倒しする

■将来のキャリア実現に必要な知識とスキルを形成する

・イングランドにおける中等教育および16歳以降の教育システムの大規模かつ長期にわたるレビューを実施する
・Aレベルの試験をより幅広いバカロレア型の資格に置き換える
・すべての学校・大学がコア数学の資格を提供できるようにするためにファンディングを提供する
・科学教育教官の継続的専門能力開発(CPD)のファンディングの監督、分配、調整を担当する独立した専門家組織を設立する。すべての教官が、毎年35時間の科目別CPDを保証される

■科学、技術、イノベーションを通じて気候変動対策目標を達成する

・科学・工学コミュニティの最高の独立した専門家グループから情報提供を受けた、ネットゼロに向けた根拠に基づく国民生活技術ロードマップを策定する
・英国のCOP議長国としての立場を利用して、すべての国が独自の証拠に基づく技術ロードマップを作成して共有し、ネットゼロを目指すよう奨励する

■生物多様性の喪失を気候変動と同じ緊急性で扱う

・「ダスグプタ・レビュー(生物多様性の経済学)」など、生物多様性の真の価値を認識し、説明するための新しいアプローチを開発・活用する

■人間の健康および環境の便益のために遺伝子技術を活用する

・技術よりも結果に焦点を当てて、新たな植物品種や動物種に関する遺伝子組み換えに対して規制システムを導入する

■すべての人の利益のためにデータ・サイエンスを安全に活用する

・ネットゼロ目標の達成を支援するためにデータを安全かつ迅速に使用できるようにするガバナンスの仕組みを確立する
・有害で誤った科学的コンテンツに対する長期的・集団的レジリエンスの構築に役立つイニシアチブを推進する
・プライバシー強化技術の開発、採用、実装に必要な社会横断的な支援を創出する

[DW編集局]