[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/05/25
抄訳記事公開日:
2022/07/01

AI研究リソース格差の解消へ、NAIRRタスクフォースの中間報告

Bridging the Resource Divide for Artificial Intelligence Research

本文:

(2022年5月25日付、大統領府による標記発表の概要は以下のとおり)

人工知能(AI)は、我々の世界を大きく変えつつある。すでに科学的発見、経済成長、新たな雇用を促進するイノベーションのエンジンとなっている。AIは、日常業務から社会的な課題まで、さまざまなソリューションに不可欠な要素となっている。

AIコースは、今や米国の大学で最も人気のある科目の一つとなり、AIを基盤とする企業が急速に設立され、規模も拡大している。

しかし、AIの重要性の向上、AIコミュニティの規模の拡大に伴い、AI研究開発への参加が、特定の不可欠なリソースにアクセスできる者に限定されがちであり、大手テクノロジー企業や十分なリソースを持つ大学に限られている。その結果、AIのイノベーションにつながるアイデアや視点の幅が狭まる恐れがある。

このようなリソース格差の拡大は、米国の豊かな多様性を反映するAI研究コミュニティと労働力の育成、すべての米国民に役立つ形でのAIの活用という米国の能力を脅かす恐れがある。AIの使用による意図しない結果を防ぐには、誰がAIの研究開発に携わっているかが重要である。

国家AI研究リソース(NAIRR)タスクフォースは、米国の研究者と学生によるAI研究開発へのアクセスを民主化するためのNAIRRの設立計画を策定してきた。NAIRRは、計算機インフラ、官民部門のデータ、テストベッドを含むリソースを広く利用可能にし、かつ統合されたコレクションとして構想されている。これらのリソースは、プライバシーを保護しつつ、アクセスが容易になり、教育ツールやユーザーサポートを付加して簡単な利用を確保している。NAIRRには、これらのリソースを設計、展開、統合、運用するための専門知識が重要となる。

NAIRRタスクフォースは設立以来、7回のパブリックミーティングを開催し、NAIRRの設計に関連する幅広い側面について39人の専門家の協力を得て、また情報提供要請に対する一般からの84件の回答を検討した。

NAIRRタスクフォースの中間報告書は、リン・パーカー米国最高技術責任者代理兼国家人工知能イニシアチブ室長が、タスクフォースの共同議長として大統領と議会に提出した。この報告書は、米国研究コミュニティのニーズを満たすための、国家的サイバーインフラの構成、設計、運用、管理に関するビジョンを示し、また既存および将来の連邦政府の投資に基づき、プライバシー、公民権、自由を保護しつつ設計し、多様性と公平なアクセスを促進するというNAIRRの構築へのアプローチを提示しており、NAIRRが、学生や研究者に対して、通常では手の届かないリソースにアクセスする機会を提供することにより、基礎研究から応用研究、トランスレーショナル研究まで、AI研究の全領域をサポートすべきことを詳細に記述している。この報告書で示されたビジョンは、米国のAI研究開発にとってより公平な未来への第一歩となる。

今後、タスクフォースは、中間報告で示されたビジョンを達成するため、今年度末にロードマップを作成する予定であり、この作業のため一般からのフィードバックを求めている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]