[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2022/05/15
抄訳記事公開日:
2022/07/06

グリーン水素:BMBFがオーストラリアやアフリカなどとの国際プロジェクトを支援

Grüner Wasserstoff: Welche internationalen Projekte fördert das BMBF?

本文:

(2022年5月15日付ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記報道発表の概要は以下のとおり)

ドイツのグリーン水素の需要を自国だけで満たすことはできない。したがって、ドイツ政府の国家水素戦略は、オーストラリアやアフリカを含む国際協力が必須となる。
2050年にドイツのグリーン水素の需要がどの位の量になるのかは、正確にはわからないが、確かなことは、ドイツが海外からの輸入に頼ることだ。マックス・プランク研究所によれば、2040年にドイツの水素需要を満たすためには、ドイツは、オーストラリアの3倍以上の再生可能エネルギー生成能力を導入する必要がある。

■オーストラリアとの戦略的水素パートナーシップ:
BMBFは現在オーストラリアと共同でHyGATEの資金調達措置について検討を重ねている。その措置の目的は、バリュー・チェーン全体にわたって革新的なグリーン水素技術を開発・試験するための研究プロジェクトに資金を提供することである。ドイツとオーストラリアの科学と産業のコンソーシアムでは、サプライ・チェーンを構築するために克服しなければならない水素のバリュー・チェーン全体にわたる既存の規制、技術的・経済的な障壁を特定する予定である。

■西アフリカおよび南アフリカとの戦略的パートナーシップ:
2020年以来、BMBFは「水素ポテンシャル・アトラス“Potenzialatlas Wasserstoff”」を助成している。この地図は、グリーン水素の生産と輸出の可能性を評価し、グリーン水素の生産でアフリカの持続可能な開発をどのように支援できるかを探っている。合計31か国で行なうプロジェクトでの分析項目は、1)利用可能な再生可能エネルギー源と水資源、 2)グリーン水素の生産に利用可能な土地、3)水素製造のコスト効率、4)地域のエネルギー需要とエネルギー・インフラ、および4)社会的および社会政治的枠組み条件である。
このプロジェクトの2つの目標は、1)グリーン水素生産のためのインフラ開発にどの場所が理にかなっているかを双方向な地図上に示すこと、2)パイロット・プロジェクトを通じて、グリーン水素の製造・輸送・流通を経済的かつ効率的に実現できる方法を実証することである。

■西アフリカの「水素ポテンシャル・アトラス」の最も重要な成果:
1)西アフリカだけで年間最大16万5,000テラワット時(TWh)の水素製造が可能である。ドイツは現在520 TWhの電力を消費している。
2)これら16万5,000 TWhの水素のうち、約12万 TWhは、1キログラム当たり2.50ユーロ未満で毎年製造が可能。ドイツの1キロの水素コストは、2050年に約3.80ユーロと想定している。
3)太陽光エネルギーは、西アフリカの北部地域で最も安価に生成され、風力エネルギーは、南部の地域で低価格で生成される。西アフリカの再生可能エネルギーによる電力の平準化コストは、ドイツよりも約30%低い。
4)グリーン水素の生産に必要なエネルギーを大幅に制限することなく、西アフリカの現地のエネルギー需要を満たすことが可能である。
5)グリーン水素に基づく経済の発展は、西アフリカの都市部と農村部の両方において、高い社会的・経済的利益をもたらす。これによりアフリカの政治やビジネスの意思決定者にとって、水素技術は、興味深いものとなり、水素経済への迅速な参入の可能性が高まる。

[DW編集局]