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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2022/06/13
- 抄訳記事公開日:
- 2022/07/08
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欧米のアカデミーがウクライナの科学・研究・イノベーションの再構築に向けた声明を発表
Action Steps for Rebuilding Ukraine’s Science, Research, and Innovation
- 本文:
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(2022年6月13日付、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は次のとおり)
我々(ポーランド科学アカデミー、ウクライナ科学アカデミー、米国科学アカデミー、ドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナ、王立デンマーク科学・文学アカデミー、全欧アカデミー連盟、英国王立協会)は2022年6月2日にポーランドのワルシャワで会合を持った。
ウクライナにおいて、強力な科学、イノベーション、研究、教育システムを構築するための手順について、議論し合意することが目的であった。会談では、ロシア軍による侵攻が現在も続いていることから、進展を図ることが困難であること認識されたが、同時に、ウクライナでの科学・研究を再構築することが、ウクライナの長期的繁栄と主権の確保に不可欠であるという理解により、議論が進められた。
我々は、世界のリーダーたちがウクライナのためにプログラムを策定し、資金支援を約束する一方で、近代的で、世界的に統合された科学研究システムを再構築することに焦点をあてることを強く推奨する。下記の10の手順は我が国の科学界だけでなく、世界中の科学界で可能な、実践的な手順である。このリストは、過去に戦争により影響された国々の経験を基に、拡大・調整される可能性がある。
1. 海外で暫定的に職を得ているウクライナの研究者が、戦争が終わり、状況が改善した後に帰国しやすくなるよう、ウクライナ国内の研究機関への所属を維持する。
2. リモート研究の契約も含めて、ウクライナからのキャリア初期の研究者およびその研究チーム向けの特別プログラムを開発する。
3. ウクライナの研究者と国際チームとの共同研究に対するファンディング・プログラムを立ち上げ、ウクライナ研究者の併任を可能とする。
4. 海外の特別研究施設(特に戦争により損傷され、破壊されたウクライナの施設と同じもの)へのアクセスを可能にする。
5. ウクライナの研究機関に、学術ジャーナルへのリモートでフリーのアクセスを提供する。
6. ウクライナの研究者と研究機関に対して、論文掲載料、科学組織の会費、学会参加料金を免除する。
7. ウクライナの研究者が、国際的科学コミュニティの同僚や組織とネットワーク構築や相互学習をするための頭脳循環の方策を確立する。
8. 需要があり、まだ使える研究施設や機器を、戦争により破壊されたウクライナの機関に寄付する。
9. ウクライナの将来のニーズを考慮し、戦後の科学復興計画を立てる。ウクライナでの研究の近代化と初期段階のイノベーションや教育も含む。
10. 効果を最大限にし、重複を最小限にし、相乗効果を意味あるものにするため、調整委員会を立ち上げ、若手およびシニアの研究者に関する課題にも対処する。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]