[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2022/06/07
抄訳記事公開日:
2022/07/08

AIにもとづく材料開発プログラム「DIADEM」がスタート

DIADEM : un programme et équipement prioritaire de recherche exploratoire liant matériaux et IA

本文:

(2022年6月7日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり)

フランス国立科学研究センター(CNRS)と同国原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、人工知能(AI)の機能を生かして革新的材料を開発する新たな「DIADEM」プログラムを始めた。政府の「優先研究プログラム」(PEPR)のなかでも、新領域の創出につながる「探索的PEPR」(PEPR Exploratoire)の一つに数えられ、官民が共同出資する「第4次未来投資プログラム」(PIA4)から、8年間で約8,500万ユーロの予算を受ける。

エネルギーや輸送機関、エネルギー移行やDX、さらには医療・保健といった社会的課題を解決するには、新しい材料の発見が重要である。ただこれらの問題は年々複雑化しており、短期間で対処するには、人工知能(AI)の活用も不可欠になる。DIADEMは、こうしたAIの新技術に基づいて材料の設計と市場への導入を加速させ、産業の競争力と経済発展を促す目的がある。

この探索的PEPRは、実施にあたり、モデリング、デジタル・シミュレーション、AIに関連する方法論、合成・スクリーニング技術、ハイスループット特性評価を統合的に組み合わせ、全国に分散配置される4つのプラットフォームを基盤とするが、これらのプラットフォームは、DIADEMの総予算の40%を占めている。これらのプラットフォームの相乗効果が材料科学におけるイノベーションを生む。そのため、各領域で国際的に著名な科学者らが、プラットフォームを基盤とした「実証試験」プロジェクトを実施する。これらのプロジェクトのうち、プラットフォームと実証試験はすでに立ち上がっており、7件が9月に開始され、他に3件が2022年末までに加わる可能性がある。これらは、関心の対象となる材料の発見や戦略的技術(3D・4D印刷、マイクロ流体、ロボット化など)の開発を可能にし、新しい方法論を実行する可能性にもつながる。

またこのPEPRでは、予算の40%近くを2024年から選抜される約30件のプロジェクトに充てる。これらのプロジェクトは、PEPRによって設置されたプラットフォームを基盤とすることになり、特に欧州域内での共同研究のプロジェクトにおいても、重要な地位が与えられる。またフランスの科学者の初期および継続的な研修に特化して、300万ユーロの予算で、関心表明公募(AMI)が実施される。

[DW編集局+JSTパリ事務所]