[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
原子力・代替エネルギー庁(CEA)
元記事公開日:
2022/06/10
抄訳記事公開日:
2022/07/11

ガンマ線バーストの明るさのメカニズムを解明

La luminosité extrême des sursauts gamma expliquée

本文:

(2022年6月10日付、原子力・代替エネルギー庁(CEA)の標記発表の概要は以下のとおり)

原子力・代替エネルギー庁(CEA)の研究者を含むフランスのチームが、米プリンストン大学と共同で、ガンマ線バーストの明るさの背後にあるメカニズムを解明した。星の爆発による衝撃波で加速される電子の動きをモデル化することで実現できた研究で、2022年5月4日付のジャーナル ”Astrophysical Journal Letters” に掲載された。

ガンマ線バーストの極端な光源での電子の加熱を説明するには、いくつかのメカニズムが提案されている。これらのエネルギー光子のバーストは、遠方の宇宙からやって来るもので、大変動(超大質量星の爆縮、またはコンパクト星、中性子星、ブラックホールの衝突)の現象から生じるものである。しかし、これまでのところコンセンサスに達したものはない。

この研究で提案されたモデルは、爆発によって放出された物質のジェットと天体プラズマ(電子とイオンで構成される非常に希薄なガス)との間で相互作用する際に、衝撃波が生成されることに基づいている。光速度に近い速度でプラズマ内を伝播するこの衝撃波は、プラズマの粒子が偏向する際の強い電磁乱流の励起によって引き起こされる。ただし、電子とイオンの質量の違いにより、デカップリングが発生する。軽い電子は電磁構造の摩擦によって捕捉され、重いイオンは抽出される。電場を生成することにより、導電性材料のジュール効果に類似したプロセスによって電子を加熱するのは、電子とイオンの間のこの電荷の違いである。

この理論的解釈を検証するため、研究者らは、CEAで軍事・防衛に関する技術研究を統括する「軍事応用局」(CEA/DAM)のCALDERコードを使用し、大規模なシミュレーションを実行した。シミュレーションには、フランスのスーパーコンピュータOCCIGENが使われ、8,000のコア(電算処理ユニット)が計450万時間を費やした。これらのシミュレーション結果は観測結果とも一致し、研究者らの仮説を裏付けている。この研究は、天体物理学的な関心を超えて、CEA/DAM施設での実験中に発生する複雑な現象に関する知識の向上にも貢献している。実際にこれらの天体物理学的環境は、南西部ジロンド県にあるCEAの研究施設、CEAセスタのLMJ(レーザーメガジュール)内に設置されたPETALレーザー(PETawatt Aquitaine Laser)などの高強度レーザーによって生成されるプラズマに似ている点が、複数確認されている。

[DW編集局+JSTパリ事務所]