[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/06/11
抄訳記事公開日:
2022/07/20

ロシアとの科学技術協力に関する米国政府および政府関係機関向け指針

Guidance On Scientific and Technological Cooperation with the Russian Federation for U.S. Government and U.S. Government Affiliated Organizations

本文:

(2022年6月11日付、大統領府による標記発表の概要は以下のとおり)

米国は、科学の自由、開放性、透明性、誠実さ、公平性、公正な競争、客観性、民主主義の原則を含む共通する価値の相互認識に基づいて国際的な科学協力にコミットしている。不法でいわれのないクレムリンのウクライナへの全面的な侵攻は、米国が支持する原則と、発展のために国際的な科学技術イノベーションを推進する、米国の取り組みへの冒涜である。ウクライナに対する偽情報キャンペーンを支援するために、クレムリンが国家の管理下にある機関を活用し続けていることに対して、米国政府は懸念を抱いている。プーチンの侵略に対抗するため、米国政府はロシア政府との二国間科学技術研究協力を制限するための積極的な措置をとってきた。

米国国内法および国際法に従い、ロシア政府系研究機関およびこれらの機関に引き続き雇用され、またはこれらの機関の指揮下で働く個人との、科学技術分野における組織的、行政的、資金的、人的な関係および研究協力関係を徐々に解消していく予定である。

2022年2月のロシアのウクライナ侵攻以前に開始されたか、または資金提供されたプロジェクトやプログラムは完了まで継続することが可能であるが、影響を受ける対象分野における新しいプロジェクトが開始されることはない。該当する省庁・機関は、ロシア政府系の大学や研究機関の指導層、およびウクライナ侵攻への支持を公に表明している人々との交流を控えるよう勧告されている。

ロシア連邦と協力を行うための契約や協定等の関係を有する連邦出資研究開発センター(FFRDC:Federally Funded Research and Development Centers)および同種の組織は、支援元の機関に連絡し、追加的な指示を仰ぐべきである。また非政府機関は、米国とロシアの科学界との接触や協力をどのように進めるかについて、独自に判断すべきである。

米国は、ロシアの内外を問わず多くのロシア人が、プーチンが選択したウクライナ戦争に反対していることを認識している。科学界を含め一部の人々が反抗のために勇敢に立ち上がった一方で、表現の自由を制限するロシア政府の措置により、報復を恐れずにロシア人がこの不当な戦争に反対を表明することはかなり困難になっている。

米国は、すべての排外主義者を糾弾し続け、信念があるためにロシアを離れ、あるいは米国に留まることを選択したロシアの科学者が、差別され、非難されることなく、確実に支援を受けられるよう保障する。米国および国際社会がより広い範囲で同じ行動をとることを推奨する。

同盟国やパートナーと協調して、平和的な国際協力を促進するために設けられた国際的な科学技術フォーラム、インフラ、会場を確実に確保していくこととする。しかしながら、ロシアがウクライナに対する戦争を終結させるまでは、国際法の下で義務付けられる場合を除き、米国政府は、科学技術に関連するさまざまな国際プロジェクトやイニシアチブにおいてロシア政府との関わりを制限していくことになる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]