[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
政府説明責任局(GAO)
元記事公開日:
2022/06/14
抄訳記事公開日:
2022/07/29

GAOが大学の「みなし輸出」のリスク評価に関する輸出管理関連省庁の取り組み状況を調査

Export Controls: Enforcement Agencies Should Better Leverage Information to Target Efforts Involving U.S. Universities

本文:

(2022年6月14日付、政府説明責任局(GAO)による標記報告書の概要は以下のとおり)

2019年には200万人以上の留学生や外国人研究者が米国の大学で学び、多くの場合、米国の研究に貢献している。米国政府は、外国の敵対者を利する可能性のある管理された機密情報を留学生や外国人研究者が入手するリスクを軽減するために輸出規制を実施している。

GAOは、輸出管理規制を回避しようとする可能性のある留学生や外国人研究者に関連するリスクに対処するための、連邦省庁の取組みを評価した。本報告書は、アウトリーチを優先するために、各省庁がどの程度、大学の無許可のみなし輸出のリスクを評価しているかを調査したものである。

本報告書は、2022年3月に発行された機密報告書の公開版で、(1)輸出管理規制の取組み、特に大学でのみなし輸出に際して省庁が直面する課題、(2)省庁間調整と情報共有の程度に関する追加の情報を含んでいる。なお、省庁で機密情報と判断された情報は削除されている。

GAOによる調査結果は次のようなものである。連邦政府機関によると、外国の主体は、米国の大学やその他の機関によって実施される機微な研究を標的にしている。米国内の外国人に対する機微情報の開示やその他の移転は、米国の輸出管理規制の対象となり、一般に「みなし輸出」と呼ばれる。国務次官補は2020年に、みなし輸出にもっと注意を払う必要があると述べ、最先端の科学とその応用にかかわる「ノウハウ」を含むこれらの移転は、中国の軍民融合戦略において、米国学術界の開かれた知識システムを掘り起こし、悪用する試みであると指摘した。

商務省(DOC)、国土安全保障省(DHS)、連邦捜査局(FBI)など、輸出管理規制関連機関は、無許可のみなし輸出を含む機密技術の移転を防ぐ取組みを強化するため、大学へのアウトリーチを実施している。

個別の大学のリスクに関する追加情報があれば、各省庁のアウトリーチの取り組みを強化できる可能性がある。例えば、DOCでは、大学のリスクレベルに基づいたアウトリーチを行っておらず、アウトリーチの優先順位を導くためのリスク要因も特定していないが、DHSは、アウトリーチのために約150の米国の大学をランク付けし、FBIは、アウトリーチの優先順位を決めるためにすべてのフィールドオフィスに情報を提供している。ただし、DHSもFBIも、単一のリスクファクターのみに基づいた取り組みを行っている。追加の関連するリスクファクターを特定・分析することで、大学のリスクレベルをより完全に把握することができ、各機関の限られたリソースをリスクのある大学へのアウトリーチへ集中させるのに役立てることができる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]