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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府科学技術政策局(OSTP)
- 元記事公開日:
- 2022/07/19
- 抄訳記事公開日:
- 2022/09/07
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米国と英国が、プライバシー強化技術に関するチャレンジ型プログラムを開始
- 本文:
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このほど米英の両政府は、グローバルな社会的課題に対処するために、プライバシー強化技術(PETs)に関するチャレンジ型の懸賞プログラムを立ち上げた。昨年の民主主義サミットで発表されたこの賞は、学術界、産業界、一般市民から広く公募し、最大2つの課題(金融犯罪の検知能力の向上、パンデミック時の個人の感染リスク予測)を対象としている。
応募者は、生データを公開・共有・結合せずに人工知能を機密データでトレーニングできる「連合学習」を用いて、プライバシー保護ソリューションの開発に取り組む。賞金総額は160万ドルであり、受賞者はバイデン大統領が2023年前半に開催予定の第2回民主主義サミットで紹介される予定である。
最初の課題は、毎年2兆ドル(国連推計)にも達する経済的損失や組織犯罪の資金源となっている国際的なマネーロンダリングに対処するための、金融犯罪の防止に関わる技術革新である。PETsにより、プライバシーを保護した金融情報の共有と共同分析が促進され、個人のプライバシーを侵害することなしに異常な取引を特定することができるようになる。応募者は、国際金融サービスに用いられるSWIFTによる合成グローバル取引データで作業を行う。架空のデータにアクセスするために、個人情報が漏洩するリスクはない。また不正な金融活動に対抗できる既存技術による規制の枠組みを提供するために、米金融犯罪捜査ネットワーク(FinCEN)、英金融行動監視機構および国家経済犯罪センター等を含む、大西洋両岸の規制当局とも協力する。
第2の課題は、パンデミック対応能力の強化であり、プライバシーを保護したうえで個人の感染リスクを予測できるソリューションを開発し、現在および将来の医療危機に対するグローバルな準備態勢全体を強化することである。イノベーターは、ある地域住民のデジタルツインを表し、かつプライバシーが保護された、合成データセットにアクセスし、米疾病対策センター(CDC)、英イングランド国民保健サービス(NHS England)等のスタッフとも協力して、開発を行う。
このチャレンジ型懸賞プログラムの企画は、米国側はOSTP、国立標準技術研究所(NIST)、国立科学財団(NSF)が、英国側は、データ倫理・イノベーションセンターとInnovate U.K.が主導している。米国側は、NIST、NSFが資金を提供する。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]