[本文]
-
- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国研究・イノベーション機構(UKRI)
- 元記事公開日:
- 2022/08/11
- 抄訳記事公開日:
- 2022/09/15
-
更年期の診断、監視、管理の革新的方法の開発
Transforming the way menopause is diagnosed, monitored and managed
- 本文:
-
(2022年8月11日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表の概要は以下のとおり)
英国のスタートアップ企業が、更年期の診断、監視、管理の方法を大きく変える、使いやすく正確で信頼性の高い診断法を開発し、パイロットプログラムを開始しようとしている。
Sci-Tech Daresburyにある科学技術施設会議 (STFC)のDaresbury研究所に拠点を置くAgile Life Sciences社は、女性が更年期のどの段階にあるかを在宅で判定できる尿検査方法を開発した。
この検査法は、既存のどの更年期検査よりも正確で信頼性があり、これによって、個人ごとに最適な治療計画が立てられるようになる。
■世界的な問題
2025年までに、世界で10億人以上の女性が閉経を経験することになるが、現行の方法では診断と治療の判断に一貫性がなく、あいまいになりがちである。最近の調査では、女性の 80% が自分の症状の管理が不十分であると感じており、多くの女性が更年期に伴う気分の落ち込みの第一選択治療として、抗うつ薬を勧められている。■バギノーム(膣細菌叢)の導入
膣には善悪を問わず何百もの微生物が生息しているが、重要な善玉バクテリアは乳酸菌であり、感染を防ぎ、膣を健康に保つ上で重要な役割を果たしている。健康な膣では、エストロゲンレベルが維持されている場合、乳酸菌が膣内微生物叢で優位を占めている。
閉経期においてそうであるように、エストロゲンのレベルが低下し始めると、膣のpHが変化し、乳酸菌種の比率も変化する。これが、膣の萎縮、のぼせを含む、更年期に関連する無数の症状を引き起こす。■最善な健康のための最善の治療
尿サンプルから、最先端の次世代シーケンス技術を使用して、個々の細菌の比率と存在量を特定する。これにより、医師や患者は、個々のバギノームに関するより正確で信頼できる情報を得ることができる。これを基に、患者毎に最適な個別化治療が開始され、定期的監視を通じて、医師による最適な治療が可能となる。■世界的課題の解決に向けてスタートアップを支援
2020 年に設立されたAgile Life Sciences社は、ヘルスケア、消費者健康分野の製品の設計、開発、商品化に関する高度な専門能力を備えているが、これは、Daresbury研究所の最先端の研究施設、専門知識、ビジネスサポートへのアクセスが、10年以上にわたって提供されてきたことが重要な役割を果たした。本技術は人口の少なくとも50%の幸福に役立ち、また国民保健サービス(NHS)において、時間と費用の両方を節約できる可能性がある。■パイロットプログラム
Agile Life Sciences社は、更年期障害の専門医やクリニックと協力して、9月から英国でパイロットフェーズを開始する予定である。 [DW編集局]