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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2022/08/22
- 抄訳記事公開日:
- 2022/10/04
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バクテリアや太陽光からの水素生産
- 本文:
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(2022年8月22日付ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記報道発表の概要は以下のとおり)
太陽光とバクテリアを利用した水素の持続的な生産は、エネルギー転換の基盤となる可能性がある。加えて、微生物は、温室効果ガスであるCO2を捕捉する。BMBFはその可能性に関する初期段階の研究に資金を提供した。
今日、水素は主に古典的な電気分解によって得られ、電気をエネルギー源として、水はその構成要素である水素と酸素に分解される。必要な電力が再生エネルギー由来である場合、これは持続可能なものである。一方、光合成によって、直接水素をつくり出す微生物もいる。
太陽エネルギーによる直接のグリーン水素製造:
単純な微生物は、成長するために非常にわずかなエネルギーと資源、そしていくつかの栄養素を含む水と十分な日光を必要とする。同時に微生物は、炭素源として温室効果ガスCO2を使用する、すなわち大気からCO2を除去するのである。さらに水素を燃料電池で使用する場合に、CO2または他の有害な排気ガスが発生しない。このことから、この技術は気候に“トリプル”でやさしいのである。基礎研究から応用へ:
2022年に完了した研究プロジェクトでは、キルスティン・グーテクンスト(Prof. Kirstin Gutekunst)教授の研究チームは、水素の収量を何倍にも増やすことに成功した。すなわち水素生成酵素であるヒドロゲナーゼを直接光合成に結合させた。BMBFの「グリーン水素アイデア・コンペティション“Ideenwettbewerb Grüner Wasserstoff“」によって助成されたフォローアップ・プロジェクトでは、同教授のチームと、マーク・ノヴァツィク(Marc Nowaczyk)教授とヴォルフガング・シューマン(Wolfgang Schumann)教授が率いるグループが、光システムとヒドロゲナーゼの融合構造が、細胞内外での生産にも適しているかどうかを調査している。電気化学と生物学を結合させたバイオ太陽光発電:
同教授とは異なり、ビン・ライ(Bin Lai)氏は、シアノバクテリアに水素を生成させるのではなく、光合成から余分な電子を回収し、電気化学系へ移す。こうすることで、彼は光合成の生物学的プロセスを電気化学的水素合成と組み合わせた。このバイオ・ハイブリッド・システムは、バイオ太陽光発電と呼ばれている。大きな可能性を秘めたプロセス:
同教授は、ビン・ライ氏や緑藻類を使用する米国の研究グループと密接に連携している。そして次のように述べた。「私たちは互いに学び合う。太陽光と水のみを使用して、分散型エネルギー源としての水素を製造するというビジョンが、すべての研究グループ研究を動かしている。BMBFは、リスクの高い研究のための貴重なスタートアップ支援を提供している」 [DW編集局]