[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2022/08/09
抄訳記事公開日:
2022/10/20

熱核融合実験炉ヴェンデルシュタイン7-Xが新たなフェーズへ

Wendelstein 7-X geht in eine neue Phase

本文:

(2022年8月9日付、マックスプランク協会(MPG)による標記発表の概要は以下のとおり)

ヴェンデルシュタイン7-X(Wendelstein 7-X)は、次の実験フェーズの準備が出来た。

グライフスヴァルトにあるマックスプランク・プラズマ物理学研究所の拡充工事の完了を機に、シュタルク・ヴァッツィンガー(Bettina Stark-Watzinger)ドイツ連邦教育研究省(BMBF)大臣と、メクレンブルク=フォアポンメルン州の科学・文化・連邦欧州担当大臣であるベッティーナ・マルティン(Bettina Martin)氏は、同研究所を訪問した。BMBF大臣は、「熱核融合は我国のエネルギー供給を持続可能、安全、かつ自立したものにする大きな機会となるものである」と述べた。

最初の2つの実験フェーズの後、ヴェンデルシュタイン7-X熱核融合実験炉は、さらに拡充され、より高い加熱能力で最大30分という長時間プラズマパルスの連続運転実験が可能となった。これでヴェンデルシュタイン7-Xは遂に完成した。この設備は、水冷式インナーライニングと新たな心臓部である水冷式ダイバータで構成される。ダイバータは、プラズマからの不純物の除去と、将来の熱核融合発電における熱除去に利用することを目的としている。ヴェンデルシュタイン7-Xは、2022年の秋に再び試運転を行なう予定で、その後、科学者は合計70の測定システムの使用が可能となる。

シュタルク・ヴァッツィンガー大臣は「ヴェンデルシュタイン7-Xは、商用熱核融合発電への重要なステップである。実用化が成功すれば、信じがたいほどの規模のイノベーションとなり、気候対策にも多大な貢献をするであろう」と述べた。

マルティン大臣は「持続可能なエネルギーは、21世紀の未来テーマであり、特に将来のエネルギー生産の問題がより明確に浮かび上がっている今、持続可能でクリーンなエネルギー源の研究を国際協力のもとで行うことが重要である。ヴェンデルシュタイン7-Xでは、将来のエネルギー需要に対応する持続可能なソリューションに関する世界最高水準の研究を行なっている」と言及した。

マックスプランク・プラズマ物理学研究所の科学ディレクターであるジビレ・ギュンター(Sibylle Günter)氏は「ヴェンデルシュタイン7-Xは、現在すでに世界最強のステラレータである。このほど完了した拡充工事は、熱核融合発電にとって重要な性能パラメータを高め、また連続運転でも安定した操業ができることを実証する機会を与えている」と話した。

[DW編集局]