[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立衛生研究所(NIH)
元記事公開日:
2022/09/13
抄訳記事公開日:
2022/10/27

NIHがライフサイエンス研究におけるAI利用拡大プログラムを開始

NIH launches Bridge2AI program to expand the use of artificial intelligence in biomedical and behavioral research

本文:

(2022年9月13日付、国立衛生研究所(NIH)の標記発表の概要は以下のとおり)

NIHは、生命科学・医学・行動科学の研究における幅広い人工知能(AI)利用を加速するため、4年間で1億3,000万ドルを投資する。

NIH共通基金(Common Fund)の支援を受けるBridge2AIプログラムは、多様な分野・背景を持つメンバーを集め、AIアプローチに対応したツール、リソース、豊富な詳細データを提供する。同時に、データの収集・分析に際して、不平等や倫理問題が発生しないようにする。本プログラムの研究者は、幅広いプロジェクト間のコラボレーションを通じて、人間の健康に関する喫緊の課題の解決に役立つ、倫理的に収集された最先端のAI対応データセットを開発するためのガイダンスと基準を作成する。例えば、遺伝・行動・環境要因が、生涯を通じて人の健康状態にどのように影響するかの解明などである。

AIはすでに生命医学研究やヘルスケアに利用されているが、その普及は、多様なデータ型にAI技術を適用することの難しさもあり、限定的なものに留まっている。これは、日常的に収集されるデータセットが不十分、即ちデータの種類、収集条件、その他のパラメータに関して重要な文脈情報が不足していることが多いということを意味する。また、データ収集において社会的・倫理的文脈に細心の注意が払われなければ、偏見や不平等を取り込む可能性もある。生物医学的発見にAIの力を活用し、その利用を加速させるためには、科学者はまず、よく記述され倫理的に作成されたデータセット、標準、ベストプラクティスを必要とする。

本プログラムは、データをAI対応にするためのツールとベストプラクティスを作り上げると同時に、研究コミュニティがAI分析に使える多様なデータ型(身体の異常な変化の特定に役立つ音声やその他情報を含む)を生み出す予定である。
また、本プログラムは、視点・背景や学術・技術分野における多様性を持つ研究チームの編成にコミットするとともに、プライバシー、データの信頼性、バイアス排除などの重要な課題に対処し、データ生成と使用に関する倫理的手法を開発する予定である。

NIHは、データ生成に関する4件のプロジェクトと、統合・普及・評価活動を行うブリッジ・センター3拠点の設立に対する助成を実施した。データ生成プロジェクトでは、AI技術開発に利用できる新しい生命科学・医学・行動科学のデータセットを生成するとともにデータの検索性、アクセス性、相互運用性、再利用性を確保するためのデータ標準とツールを作成する。さらに、データ生成プロセス全体を通じて、多様性の文化や倫理的手法の仕様を促進するトレーニング教材を作成する。ブリッジ・センターは、データ生成プロジェクト全体の活動と知見を統合し、成果、ベストプラクティス、トレーニング教材の普及を図る。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]