[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
フラウンホーファー協会(FhG)
元記事公開日:
2022/09/01
抄訳記事公開日:
2022/11/07

BioNTech のmRNAベース医薬品製造最適化ソフトウェア

Algorithmen für die Herstellung von mRNA-basierten Pharmazeutika

本文:

(2022年9月1日付、フラウンホーファー協会(FhG)による標記発表の概要は以下のとおり)

COVID-19ワクチンComirnaty©の開発・生産で世界的に有名になったBioNTech社の原点であり、現在も追求されている課題は、mRNAベースの個別化がん治療法の開発である。これら双方の用途に関して、フランホーファー技術・経済数学研究所(ITWM)の研究者チームは、BioNTech社と共同で、製造工程の効率的かつ最適な計画・制御・文書化のための2つのソフトウェア・プラットフォームを開発した。システムはすでに実用化され、変化する状況に継続的に適応している。

mRNAベースの個別化抗がん剤開発からスタートしたBioNTech社は、記録的な速さでCOVID-19に対するワクチン開発に成功した。個別化された医薬品の製造も、数億回分のワクチンの製造も、それぞれの製造工程の詳細な計画、調整、制御が必要である。フラウンホーファーITWMは、BioNTech社と協力して、両用途の計画・制御プロセスを実行できるのみならず、新たな要件にも適応できる2つのソフトウェア・プラットフォームを開発した。

ITWMおよびHigh Performance Center LZ Simulation and Software-Based Innovation Kaiserslauternの研究者、ハイナー・アッカーマン(Dr. Heiner Ackermann)氏は、「これは市販のソフトウェアでは不可能なことである。これにはBioNTech社の製造工程に合せて特別に調整され、最適化された柔軟な数学的方法とモデルを備えたソリューションによって可能となる。さらに規制当局の規制基準の違いによる製品の大きな違いと、製造工程の自動化の両方を長期的にサポートする」と述べている。

■複雑な医薬品製造工程、多岐にわたる課題
個別化された医薬品の製造工程は、製薬業界で確立されたその他の医薬品のそれとは全く異なる。すべての工程は、がん患者毎に個別に、細心の注意を払って実施しなければならず、1回の製造量は従来の医薬品よりも大幅に少ないものとなる。

■国ごとに異なる固有の規制
がん治療とワクチン開発の両方に関する国固有の広範な規制要件を考慮し、製造計画を最適なものに変更できるようにするためには、カスタムメイドでスケジューリングできる方法が必要である。これには、個々の患者ごとに異なる治療日程などの重要な情報も含まれる。
また、BioNTech はComirnaty® の製造を外部に委託しているが、委託製造業者は、特定の工程のみを専門としているため、それぞれの工程を担当する製造業者のネットワークを管理するには、さまざまな国の規制要件、中間体の有効期間、そしてその後の最終製品化までを考慮に入れた調整が必要となる。

■灯台のようなソフトウェア
これらの問題はすべて、フラウンホーファー ITWM のソフトウェア プラットフォームによって解決、克服することができる。本ソフトウェア・ソリューションは、BioNTech社での生産計画、管理、文書化において中心的な役割を果たし、ワクチン生産および個別化mRNAベースのがん治療薬の長期的かつ安定した製造工程を保証している。プラットフォームは、順次拡張され、変化する要件に適応し、BioNTech社のIT環境に統合されるようになっている。

[DW編集局]