[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
保健・社会福祉省(DHSC)
元記事公開日:
2022/10/14
抄訳記事公開日:
2022/11/15

国立衛生研究所、患者安全の向上に8億ポンド強を助成

Over £800 million to boost innovation, growth and improve patient safety

本文:

(2022年10月14日付、保健・社会福祉省の標記発表の概要は以下のとおり)

画期的な実験医学研究支援と、患者安全の課題への取り組みを前進させる大規模な支援の結果、全国の患者は、革新的な新治療法と改善された保健サービス提供の恩恵を受けることになる。

本日政府は、国立衛生研究所(NIHR)が8億ポンド超の資金を投じて、科学者を集結し実験医学と患者安全に関する研究環境を整えた専門研究施設を支援することを発表した。

この国による研究インフラ強化策は、革新的な技術と新たな研究プロジェクトへのアクセスを支援する科学専門能力へのさらなる投資を呼び込む。また、雇用機会の創出を通じて地域の経済成長を促し、全国各地の民間企業が研究への投資を継続する自信を与えることにもなる。

エクセターの新センターを含む、イングランド全土の20のNIHR生物医学研究センター(BRC)に、今後5年間にわたって約7億9,000万ポンドが授与され、がん・メンタルヘルス・認知症など、優先度の高いさまざまな領域で疾患の診断と治療のイノベーションを推進する。

さらに、患者安全の課題の理解と解決のために、今後5年間で2,500万ポンドがNIHR患者安全研究センター(PSRC)の6施設に授与され、事故の調査・報告の改善、患者安全向上のためのデジタルイノベーション、COVID-19流行期の対応から得られた教訓の活用などを支援する。

助成金は、全国各地に分配され、2億6,000万ポンド以上が、ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジ以外の地域に投資される。これは、イングランド全土で実験医学の適用範囲を拡大し、「レベリングアップ(Levelling Up)白書」に示されていた以前の政府の公約を上回るものである。これにより、より多くの地域がイノベーションの成果の恩恵を受け、研究が行われる場所でのより迅速な導入を促進するだけでなく、病気の理解・治療や医療提供の改善によって、全国の保健サービスの向上と健康格差の是正に貢献することができる。

過去9年間、NIHRのBRCは、約60,000 件の実験医学研究を支援してきた。これらは、革新的で迅速な診断の進歩など、患者に直接的な保健上の利益をもたらし、以下のような成果を上げた:

▽世界で最初に承認されたワクチンであるオックスフォード・アストラゼネカ・ワクチンの開発、およびCOVID-19の新治療法の世界最大の臨床試験RECOVERY Trialの実施
▽運動ニューロン疾患の新治療薬の開発(安全性と忍容性が確認され、この疾患の遺伝型を持つ人々の症状の進行を遅らせる可能性がある)
▽血友病患者の画期的な治療法となる可能性のある新たな遺伝子治療法の開発
▽乳がん患者の放射線治療における被ばく低減の研究(体内の健康な組織へのダメージを軽減し、副作用を最小限に抑える)

過去9年間、現在のNIHRのPSRCは、800件以上の患者安全の研究を支援し、保健サービスの安全性向上を推進してきた。たとえば、次のようなものがある:

▽マンモグラム画像の乳がんの検出における人工知能の利用
▽プライマリーケアにおける投薬ミスの削減
▽NHS病院における患者安全文化向上プログラムの策定
▽重大医療事故調査への患者・家族の関与に関する指針の策定

[DW編集局]