[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2022/10/06
抄訳記事公開日:
2022/12/06

DARPAが国産レアアース精製技術開発チームを発表

DARPA Names Teams to Develop Biotechnologies to Purify Critical Elements

本文:

(2022年10月6日付、国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は以下のとおり)

レアアースは、レーザー・精密誘導兵器・モーター用磁石など、多くの国防総省のシステムに不可欠な元素である。米国はこれらの元素の分離・精製を他国の企業に依存しているため、そのサプライチェーンは脆弱である。レアアース資源は、国内に十分に存在するが、旧来の溶剤を用いた精製プロセスのコストと危険性が障害となっている。DARPAの「バイオエンジニアリングリソースとしての環境微生物(Environmental Microbes as a BioEngineering Resource:EMBER)」プログラムは、バイオマイニングを含めた微生物工学的手法を用いて、微生物や生体分子の特異性や選択性を改善し、レアアースの分離・精製を行うことを目的とする。

EMBERプログラムマネージャーのChrisey博士は、「EMBERは、自然環境にある微生物が、生存のためにはレアアースを必要とし、極限状態に耐え、その取り込み手法や独自の酵素を進化させてきたことに着想を得た。このようなシステムの絶妙な選択性と特異性を利用して、レアアースの分離・精製のスケーラブルなプロセスを開発したい」と述べた。

研究チームは合成生物学の手法を用いて、過酷な条件下でレアアースと特異的に結合する微生物や生体分子を設計し、これらの技術を統合して個別のREEを精製するためのバイオマイニング・ワークフローを構築することになる。この4年間のプログラムは、3つのフェーズに分けられ、各チームは、複雑さが増す原料物質から、より多種類のレアアースをより高い純度で得ることを目指し、最終的には国内のレアアース源からパイロット規模の精製を行うことを目指す。

選ばれた研究チームは以下のとおり:
₋ ローレンス・リバモア国立研究所
₋ バテル記念研究所
₋ サンディエゴ州立大学

DARPAは、レアアースを国家安全保障のサプライチェーンに不可欠なものと考え、多方面からその必要性を検討している。EMBERに加え、廃棄時点でのリサイクル(Recycling at the Point of Disposal)プログラムでは、使用済みの電子機器、いわゆる「e-waste」に含まれる少量の重要元素の回収技術も評価している。また、米国地質調査所(USGS)と連携して機械学習やAIツール・技術によって国内の重要鉱物資源の評価を迅速化するコンペを行っている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]