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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2022/11/02
- 抄訳記事公開日:
- 2023/01/05
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BMBFが過去と向き合う
- 本文:
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(2022年11月2日付、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記発表の概要は以下のとおり)
本日、ミュンヒェン・ベルリン現代史研究所(IfZ)が、BMBFの前身機関の過去とナチスによる強制に関する包括的な研究結果を発表した。BMBFから委託されたこの研究では、1955年から1972年までのドイツ連邦原子力研究省における、ナチスによる強制について調査されている。詳細な伝記の分析により、自然科学や技術科学の影響を強く受けた連邦省内にも存在していたナチスによる、広範かつ多岐にわたる強制があったことが示されている。調査結果は、他の省庁の調査結果と一致しており、初期の連邦共和国では、州のトップ職員に一貫してナチスによる強制があったことがわかった。同時に、現代の歴史的研究に沿って、ワイマール共和国からナチス政権および初期の連邦共和国まで、特定の職業集団は、高い適応性と機能性を有していたことも、証明された。他の省庁と同様に、初期の原子力研究省は、帝国時代から社会化し、ナチス時代には公務員として重要な専門的機能を果たしていた管理職層に、大きく依存していた。このようにして、1960年代までは、国民の間には保守的で権威主義的な考え方が長らく続いた。
原子力研究省は、ナチス時代からの直接の前身機関を持たなかったため、他の省庁よりも、新しく始まるという意識が省内で強く認識されていた。将来の利用が期待される技術や研究分野が優先されたことで、今日の意味でのナチスによる強制のある過去は、他の部門と同様、ほとんど問題とならなかった。最近のドイツの歴史こそが、今我々が取り戻さねばならない「科学技術的な遅れ」の原因であると思われる。
今日のBMBFは、その責任を認識している。このような研究は、現代の歴史研究や政治教育に貢献するだけではなく、民主的な意識を強化することもできる。過去についての知識を持つことで、自由で民主的な現在の基本秩序に責任をもつことができるようになる。過去を学ぶ者だけが、未来を考えることができるのである。
[DW編集局]