[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2022/11/04
抄訳記事公開日:
2023/01/06

将来の先端材料開発の促進に9,500万ポンドを助成

New Business Secretary announces £95 million funding for super-materials of the future to boost UK growth

本文:

(2022年11月4日付、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり)

グラント・シャップスBEIS大臣は11月3日、マンチェスターに本部を置くヘンリー・ロイス研究所における先端材料の研究・イノベーションを支援するため、9,500万ポンドを助成すると発表した。

工学・物理科学研究会議(EPSRC)を通じて行われるこの多額の資金投入は、先端材料分野における世界的リーダーとしての英国の地位を確固たるものとし、過去5年間にわたって助成された初回の2億5,800万ポンドの政府投資に続くものである。

先端材料(生体材料、スマート材料、ナノ工学材料など)は、従来の材料よりも優れた性能を実現する独自の特性を持ち、健康、輸送、エネルギー、エレクトロニクス、公益事業などの幅広い産業界で不可欠である。

ロイス研究所の支援と政府の助成を受けた事業には、再生医療における組織工学などのヘルスケア用途のための3Dバイオプリンティング、廃棄物の持続可能なプラスチックへの転換、量子技術を可能にする新材料などが含まれる。

また、あるプロジェクトでは、学術界と産業界が協力して、ジルコニウム合金断熱材により、原子炉で使用される高放射性燃料の安全性とコスト効率を改善し、二酸化炭素排出量を削減する方法についても知識を深めている。

さらに、英国が毎年輸入している3万5,000トンのチタンは、製造過程で90%が廃棄物となっていたが、これを再利用して高効率車両に使用できる軽量合金に変えることで、廃棄物と二酸化炭素排出量の削減に革命を起こすプロジェクトもある。

今回の助成は、財政的支援、研究施設へのアクセス、企業や研究者間のコラボレーションの機会を提供することにより、これらの材料の初期段階の研究を支援するロイス研究所の取り組みを前進させるものである。

ロイス研究所は、EPSRCを通じた2億3,500万ポンドの政府投資により、2015年に設立された。同研究所はこれまで、295の英国の中小企業や産業界のユーザーと協力し、350件の産学連携を促進してきた。その使命は、英国の材料研究における卓越性をさらに高め、技術の商業化を加速し、社会と経済にとってプラスになる効果をもたらすことである。

これまでに助成を受けたプロジェクトには、次のようなものがある。

▽最新型原子炉に使われる燃料用新型被覆管の開発による安全性、コスト、効率の向上
▽量子コンピューティングに必要な材料の開発
▽甲殻類産業から出る廃棄物を利用したバイオプラスチックの開発
▽加工屑を最大限活用した革新的なチタンの製造方法
▽コンピュータ・シミュレーションとロボットを活用した、クリーンエネルギー、持続可能な材料、ヘルスケア分野などで使用される新材料の探索
▽組織工学、再生医療、医薬品開発、およびその他従来の医療分野での応用に向けた、生体工学システムやデバイスの開発・製造における3Dバイオプリンティング技術の活用

[DW編集局]