[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
政府説明責任局(GAO)
元記事公開日:
2022/11/15
抄訳記事公開日:
2023/01/13

GAOが中国などの懸念国への技術移転リスクに関する調査を実施、ICEへ提言

China: Efforts Underway to Address Technology Transfer Risk at U.S. Universities, but ICE Could Improve Related Data

本文:

(2022年11月15日付、政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)による標記発表の概要は以下のとおり)

概要

米国の大学で科学・技術・工学・数学(STEM)を学ぶ外国人大学院生の1/3は中国籍であり、その一部は機密データにもアクセスしうる。各省庁は、中国などの懸念国からの留学生など、海外組織への技術流出のリスクが高い者のタイプを示すいくつかの要因を特定した。移民・関税執行局(U.S. Immigration and Customs Enforcement:ICE)は、この要因に関するデータベースを保持しているが、リスクに関する追加データを得てそのデータベースを更新すべきかについて評価を行っていない。また、学生の技術へのアクセスを示唆するICEのデータは現状では不完全である。

調査結果

外国籍の学生や研究者が、米国の大学から外国の組織に技術移転するリスクがあるかどうかについてのICEのデータは不完全である。データには、技術移転について中華人民共和国(People’s Republic of China:PRC、以下中国)のような懸念国からの大学院生の数に関するデータが含まれている。また、STEM分野の大学院生は、極秘の研究に関与している可能性が高いことが確認されている。しかしICEは、リソースを他の優先事項に集中させていることもあり、リスク要因に関する追加データを取得してデータベースを修正するスケジュールを決めていない。また、外国人学生の米国での雇用についての情報も不完全である。これを完全なものとし、学生の雇用データを改善すれば、技術移転リスクを特定・評価する米国政府の取り組みを強化できる。

連邦政府の研究資金を提供する省庁は、中国やその他の国が、その利益のために技術を移転しようとする活動から大学の研究を守るため、外国からの影響を受けていることについて虚偽の申告を行っている可能性のある研究者への調査を強化した。その結果、中国関連の機関から資金提供を受けていたなど、不明な組織との関わりが理由で解雇された研究者もいる。省庁の関係者らは、この調査が人種的偏見とされる懸念があることを認める一方、国籍やビザのステータスなどの個人の特性に基づいた判断は行っていないことを強調している。また、調査対象者は海外からの留学生や訪問研究者よりも、むしろ大学のパーマネント職の方が多かったことも指摘した。

調査理由

連邦政府は、毎年数十億ドルを米国の大学で行われる研究に費やしている。研究には、外国からの留学生や研究者も貢献している。例えば、2016年―2020年の間、約723,000人の中国人が大学院レベルのSTEMプログラムに参加していた。最近の報告書では、開かれた研究環境を維持しながらも、外国、特に中国からの不当な影響に対抗することの重要性と課題が指摘されている。GAOは、米国の大学に連邦政府が支援した研究の成果を中国が移転しようとする試みに対し、各機関がどのような策を講じているか調査するよう要請を受けていた。

提言

GAOはICEに対して、(1)必要な評価に向けたスケジュールを設定すること、(2)技術流出のリスクを示唆する要因に関するデータの更新を行うこと、の2点を提言し、ICEは、これに同意した。

[DW編集局]