[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2022/11/10
抄訳記事公開日:
2023/01/17

米国と英国がプライバシー強化技術(PETs)プライズ・チャレンジの第1フェーズ受賞者を発表

Winners Announced in First Phase of U.S.-UK Privacy-Enhancing Technologies Prize Challenges

本文:

(2022年11月10日付、国立科学財団(NSF)による標記発表の概要は以下のとおり)

本日、米英両国政府は、本年7月に開始した、プライバシー強化技術(privacy-enhancing technologies:PETs)プライズ・チャレンジの第1フェーズの受賞者を発表した。両国のイノベーターは、PETsを利用して、金融犯罪の検出能力向上とパンデミック時の個人の感染リスク予測の2つのコースに横断的に参加するか、これら両方に対処するソリューションの設計に取り組む。

76の応募から選ばれた12の受賞論文は、プライバシーを保護する連合学習(federated learning)への最先端のアプローチを提案し、総額15万7,000ドルの賞金を獲得した。受賞者には、両国の学術機関、グローバルテック企業、スタートアップなどが含まれている。

今月始めに開始された第2フェーズでは、参加チームが、論文で想定したソリューションを実際に構築する。また規制当局や政府機関に関与し、重要な規制上の原則を維持するためのソリューションの開発について情報を提供する機会も設けられる。第2フェーズの参加者は、総額91万5,000ドルの賞金をかけて競うことになる。

両国政府はまた、第3フェーズに参加する「レッドチーム」の募集を開始している。レッドチームは第2フェーズで上位のスコアを得たソリューションのプライバシー保護能力を厳格にテストし、最終受賞者が決定されることになる。最高レベルの得点をしたレッドチームには、総額22万5,000ドルの賞金が授与される。

参加者が取り組んでいる挑戦課題は、現実社会での使用事例の典型となる人工的なデータセットに基づいているが、実際の個人情報は含まれない。金融犯罪のコースでは、グローバル金融機関であるBNY(バンク・オブ・ニューヨーク)メロンとドイツ銀行が開発した合成バンキングデータと、SWIFTが「MOSTLY AI」合成データプラットフォームを使用して作成した国際取引データを用いている。公衆衛生コースの参加者は、バージニア大学の生物学的複雑性研究所(Biocomplexity Institute)によって作成された合成データセットを使用する。

本チャレンジの企画は、英国側が英国データ倫理・イノベーションセンター(U.K. Centre for Data ethics and Innovation:CDEI)とイノベートUK(Innovate UK)、米国側が大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)、国立標準技術研究所(U.S. National Institute of Standards and Technology:NIST)、およびNSFが主導している。米国のチャレンジは、NISTとNSFが共同で資金提供し管理している。

[DW編集局]