[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
医薬品・医療製品規制庁(MHRA)
元記事公開日:
2022/12/19
抄訳記事公開日:
2023/01/19

BEISが、MHRAの医療規制改革プロジェクト3件に100万ポンドを助成

MHRA to receive nearly £1m BEIS funding to unlock digital, data and scientific regulatory innovation

本文:

(2022年12月19日付、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の標記発表の概要は以下のとおり)

この3件のプロジェクトは、
①「人生を変える」治療の臨床試験段階への、患者のアクセス方法の向上
②臨床医療現場への複雑なAIの安全な導入方法開拓
③個別化医療の発展を支える先進マイクロバイオーム(ヒトの体に共生する微生物の総体)関連製品適用について英国が初動地となる事
を目的としている。

◇臨床試験における合成データの利用

第1のプロジェクトは、代替合成データセットの開発を通じて、臨床試験の対照群を見つけるという課題に取り組むため、75万ポンドの助成を受けている。

現在、臨床試験において、患者は無作為に対照群に割り当てられるため、症状を改善したり延命したりする可能性のある治療を受けられないリスクがある。また、希少疾患の臨床試験では、十分な数の患者を集められない場合がよくある。

しかし、MHRAは最近、実際の患者と同様の健康情報を備えた「人工患者」の創出において大きな進歩を遂げた。これにより、小規模臨床試験における患者数を増やし、年齢層や民族など、臨床試験であまり代表されていないグループをより適切に反映することができる。

したがって、本プロジェクトは、一般的疾患および希少疾患の臨床試験について、実施方法を変え、コストを削減し、新治療のNHS申請に先駆けた試験方法を変革する、完全に人工的な対照群の創出を目的としている。このプロジェクトは、完了に12~18か月かかる。

◇臨床医のための複雑なAIアルゴリズムの解釈可能性

第2のプロジェクトは、AIの決定が特定状況下で妥当かつ適切であると臨床医が確信できるように、内容が複雑で「ブラックボックス」となっているAI製品を臨床環境に安全に導入するにはどうすればいいか、という問題に取り組む。

アルゴリズムが考慮した要因とそれらに割り当てられた重や、アルゴリズムがどのようにその決定に至ったかを、臨床医が理解し、それを覆すべきかどうかという判断を支援する、実行可能な方法論の作成に、17万ポンドの助成が与えられている。

◇マイクロバイオーム専門性の英国への導入

第3のプロジェクトは、5万ポンドの助成を受け、マイクロバイオームを利用した治療や診断の規制に関するガイドラインの策定を検討している。この分野は、急速に発展しているが、その斬新で複雑な性質の故に規制当局や企業の双方にとって課題となっている。

規制の確立を促進し、マイクロバイオーム分野に信頼をもたらし、患者の安全を確保するには、専門的な科学的知識に基づく適切な内部および外部のガイダンスが必要である。

[DW編集局]