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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
- 元記事公開日:
- 2022/12/13
- 抄訳記事公開日:
- 2023/01/20
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原子力と水素のイノベーションに1億200万ポンドの資金提供
£102 million government backing for nuclear and hydrogen innovation in the UK
- 本文:
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(2022年12月13日付、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり)
本日、英国政府は、ロシアのウクライナ侵攻とエネルギー価格への世界的影響を受けて、英国でのクリーンエネルギー生産を支援するための新たな資金提供を発表した。
今回の資金提供には、核燃料の生産を強化し、次世代の先進的原子炉の開発を支援するための7,700万ポンドと、大気から二酸化炭素を除去しながら、持続可能なバイオマスと廃棄物から水素を生成する技術に向けた2,500万ポンドが含まれている。
◆原子力投資
政府は本日、2030年代初頭までに稼働可能な新型モジュール式原子炉(AMR)の一種である最先端の高温ガス炉(HTGR)の研究の次の段階を開始するため、最大6,000万ポンドの資金提供を発表し、新たな革新的な原子力エネルギーに対するコミットメントを表明する。AMR研究開発プログラムからの資金提供は、10年内にエンジニアリング設計の実証プロジェクトを開始することを目標としている。
HTGRは通常、従来の原子力発電所より小型で、柔軟性が高く、数分の1のコストで建設できる。HTGRは、家庭で使う電力を安全に発電するだけでなく、高価な化石燃料への依存を減らし、低炭素水素などの副産物を生産することにより、英国のエネルギー主権と安全保障を強化することが期待されている。HTGRは、最高で950度の温度を発生し、英国の産業工程の脱炭素化に資するクリーンな高温の熱源を提供する。
HTGRイノベーションに対する今回の資金提供は、AMRの研究・開発・実証プログラムの補完プロジェクトとして、「AMRナレッジキャプチャプロジェクト」への400万ポンドの追加資金提供によって支えられている。このプロジェクトは、知識の獲得と共有を促進することで、プログラムの実施にかかる時間、リスク、コストの削減を目指している。
また今回発表された、プレストンにある核燃料加工会社ウェスティングハウスに対する最大1,300 万ポンドの支援は、現在の英国の先進ガス冷却原子炉の燃料を生産する上で戦略的に重要である。この資金提供は、英国が海外からの輸入への依存度を下げる選択肢を持つことを意味し、同社が再処理されたウランと新たに採掘されたウランの両方を変換して新しい燃料を作る能力の開発に役立つ。
◆水素イノベーション
未来のスーパー燃料となる水素の利用を加速することは、英国のエネルギー安全保障を強化するための再生可能エネルギーや原子力への政府の取り組みと並んで、英国のよりグリーンなエネルギーの未来にとって重要である。
これを支援するべく、政府は、CO2 を大気から永久に除去できる独自の「負の排出(negative emission)」技術である炭素回収貯留を伴うバイオエネルギー(BECCS)由来の水素の展開加速に2,500万ポンドの拠出を決定した。バイオマスは、成長中にCO2を吸収し、そのCO2は水素生成プロセス中に捕捉され、永久に貯蔵される。
水素BECCS技術は、輸送や重工業などの脱炭素化が難しい分野にクリーンな燃料である水素を提供し、英国のネットゼロへの道のりで重要な役割を果たす。今回の資金提供は、BECCSプロジェクトの設計段階から実証試験への移行に直接寄与し、最終的に我々の日常のエネルギーシステムの一部として統合されるよう支援する。
[DW編集局]