[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2022/12/11
抄訳記事公開日:
2023/01/25

「グローバル・ゲートウェイ」委員会、初年度の進捗評価と次年度の展望

Global Gateway: First meeting of the Global Gateway Board

本文:

(2022年12月11日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)

本日、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、グローバル・ゲートウェイ委員会の初会合を招集した。この会合では、2027年までに3,000億ユーロの投資を動員するという目標を掲げた「グローバル・ゲートウェイ」の初年度の進捗が主題であった。また、2023年にパートナーと協力してグローバル・ゲートウェイを展開するための運用上の優先課題を特定した。さらに、「チーム・ヨーロッパ」のすべての関係者の活動を調整して、パートナー諸国で前向きなオファーを提供する方法も特定した。

◆初年度の成果評価と2023年の計画

グローバル・ゲートウェイ戦略は着実に進行中である。初年度には、EUとそのパートナー間の海底データケーブルおよび地上接続を介したデジタル接続の促進、太陽光・風力発電所への投資による再生可能エネルギー生産の強化、ワクチン・医薬品・医療技術に関するアクセス・製造能力などの強化、などに重要な投資が行われている。

デジタル分野の例としては、アルジェリア、エジプト、モロッコ、チュニジア、キプロス、フランス、イタリア、ポルトガル、スペインを結ぶ、EUの助成金4,000万ユーロを含む総投資額3億4,200万ユーロの「Medusa光ファイバー海底ケーブル」7,100kmの敷設、海底および地上の光ファイバーケーブル「BELLA(Building the Europe Link to Latin America)」の中米およびカリブ海への延長、「コペルニクス計画」を通じたパナマでの「地球観測センター」の設置、などがある。

エネルギー分野では、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナの送電システムをクロアチア、ハンガリー、ルーマニア、イタリアに接続するバルカン横断電力回廊(推定総投資額4,120 万ユーロ)や、アルバニア、コソボ、北マケドニアの太陽光発電所、北マケドニアとセルビアの風力発電所などがある。EU はまた、ナミビアおよびカザフスタンとのグリーン水素・重要原材料に関するパートナーシップ、エジプトとのグリーン水素パートナーシップを締結し、「チーム・ヨーロッパ」の取り組みでは、インドネシアおよび南アフリカとの「公正な移行(Just Transition)パートナーシップ」を、それぞれ24億ユーロおよび30億ユーロで支援する。

戦略的輸送回廊に関しては、北マケドニア・ブルガリア国境のBeljakovce – クリヴァ・パランカ間の34kmの鉄道区間の修復に総額5億6,500万ユーロ、およびベオグラード – ニシュ鉄道線の「回廊 X」区間に総額2億7,900万ユーロの投資が行われる予定である。

保健分野では、アフリカにおけるワクチン、医薬品、医療技術へのアクセスと製造を支援するために、「チーム・ヨーロッパ」から10億ユーロ強の投資が行われ、現在、ルワンダ、セネガル、ガーナ、南アフリカでは支援が進行中である。教育分野では、EU は、アフリカでの職業教育・訓練の能力開発において、26か国が関与する25件のプロジェクトに対して投資を行っている。

グローバル・ゲートウェイ戦略の開始以来、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海、太平洋地域の特定されたすべての分野における主要な投資に対して、EU予算から90億ユーロ強の助成金が投じられている。

サハラ以南のアフリカ、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域については、欧州委員会は12月15日に、欧州金融機関からの40件のプロジェクト配布予算を提出し、欧州持続可能開発基金プラス (EFSD+) の下で運営委員会の承認を得る予定である。これによりグローバル・ゲートウェイに貢献する主要分野への投資総額は500億ユーロ強になると期待される。

5月に欧州投資銀行(EIB)と締結したEFSD+の保証契約の下で、クリーンエネルギー、グリーンインフラ、保健などの分野におけるEIBのソブリン融資をカバーする総額267億ユーロの保証に対して、既に74億ユーロの投資に相当する34件のプロジェクトが承認されている。

西バルカン地域と南部・東部の近隣地域に関しては、EUは、欧州の金融機関と協力して、3件の経済・投資計画の下で 2027年まで活用されると予想される総投資額770億ユーロのうち、現在までに140億ユーロを動員し、これらの地域におけるグローバル・ゲートウェイの実現に貢献している。

◆背景

2021年のグローバル・ゲートウェイ戦略は、進化する国際情勢におけるEUの対外投資の枠組みを提供するものである。これは、世界的な投資ギャップの縮小、世界経済の回復、欧州の国境を越えたグリーン・デジタル両移行、を支援するというEUの提案である。グローバル・ゲートウェイは、ハードインフラとそれを可能にする環境、規制の枠組みと規範・規格、技術移転、ノウハウをカバーしている。その中核にある目標は、投資に官民の資金を組み合わせて強力なインフラ要素を備えた変革的で大規模なプロジェクトを実行することである。

グローバル・ゲートウェイは、パートナー各国の戦略的自立を支援するEUの積極的な提案である。質の高い地政学的投資を拡大することで、欧州の利益を促進し、二国間および地域のパートナーシップを強化することで、地政学的に争われる世界でEUをより際立たせることを目指している。

デジタル、気候・エネルギー、運輸、保健、教育・研究の5つの主要分野を網羅し、現場での規模と具体的かつ目に見える効果を実現するため、共通の優先課題と原則の下で協力して作業する「チーム・ヨーロッパ」の取り組みを通じて実施される。すべてのEU機関、EU加盟国、その開発金融機関、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行、および欧州の民間部門が動員される。

[DW編集局]