[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2022/11/24
抄訳記事公開日:
2023/01/25

グリーン水素利用による温暖化対策

Grüner Wasserstoff kann Raffinerien klimafreundlich machen

本文:

(2022年11月24日付、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記報道発表の概要は以下のとおり)

グリーン水素は、多くの産業部門で化石燃料を代替することができる。BMBFが助成する水素リーディング・プロジェクトである「TransHyDE」は、最近の研究で、シュヴェット製油所での適用の可能性について概説している。これまで同製油所では、ロシアから原油を輸入していたが、これからは新たな原油供給元が必要である。中長期的には、気候中立であることが最重要課題となり、このプロジェクトの研究者はそうした観点で調査を行っている。

■シュヴェット製油所における水素利用
TransHyDEの専門家は、以下のような利用を検討している。
1)原油精製におけるグレー水素のグリーン水素への転換
2)気候中立な航空用ケロシンとマリン・ディーゼルの生産

短期的には、グリーン水素によるグレー水素の置換によって、CO2の排出を削減することができる。長期的には、同製油所は、グリーン灯油とグリーン・マリン・ディーゼルの生産に焦点を当てる必要がある。グリーン水素は、現地で生産されたものであれ、輸入されたものであれ、この製油所の基盤となるものである。

■合成燃料の将来の役割
合成燃料は、バッテリー駆動が実用的でない場合に使われる。たとえば、現時点で船舶や航空機用の液体燃料や気体燃料と同等のエネルギー密度をもつ代替燃料はない。

■グリーン水素の一般的な用途
多くのBMBF助成プロジェクトでは、水素の生産、輸送、用途について研究している。産業分野では、エネルギー源または原料として使用できる。たとえば鉄鋼業では、グリーン水素を使用することで石炭なしで生産が可能となる。運輸部門では、グリーン水素は、電化が中長期的に不可能な場合、つまり大量の長距離輸送、航空・海上輸送、貨物輸送、一部の鉄道輸送において、注目されている。また、合成燃料の製造に直接使用することも可能である。

■背景:TransHyDEプロジェクトについて

グリーン水素の需要を満たすためには、信頼性があり、効率的な貯蔵・輸送インフラが必要である。そのためにTransHyDEでは、4つの実証プロジェクトで、様々な貯蔵および輸送技術を試験、評価している。圧力容器や液体・ガスパイプラインによる輸送、およびアンモニアやLOHC(液体有機水素キャリア)への結合など、水素の輸送方法は多岐にわたる。

本プロジェクトは、水素インフラへのロードマップ作成、水素輸送技術の標準化、水素輸送技術の安全性、アンモニアからの水素の効率的な取り出し、水素の液体輸送など、水素輸送に特化した5つの科学プロジェクトで、体系的な枠組み要件の検討を行なっている。

[DW編集局]