（2022年12月5日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり）

本日、米国－EU貿易・技術評議会（Trade and Technology Council：TTC）は、第3回閣僚会議を開催した。米国側はブリンケン国務長官等、EU側はベスタエアー執行副委員長等が共同議長を務め、貿易、技術、イノベーションに関するアプローチを民主主義の原則と普遍的人権に沿って示すための大西洋横断協力について、進捗を確認し具体的行動を策定した。

戦略地政学的な課題のもと、米国とEUは、ロシアの情報操作及び干渉の広がりや、特にアフリカとラテンアメリカなど第三国に対するその影響に対処するための努力を続けている。今回の閣僚会議において、米国とEUは二国間及び第三国との協力関係を深めるため、以下のような新たな具体的取り組みを立ち上げた。

①第三国における安全で強靱なデジタル接続の支援
ジャマイカとケニアで、包括的な情報通信技術・サービスプロジェクト（information and communication technology and services：ICTS）に関する新たな協力を開始し、それぞれの政府と協力する。

②新規・新興技術に関する協力
・AIのリスク管理と信頼性構築に関する「AI共同ロードマップ（Joint Artificial Intelligence (AI) Roadmap）」の作成
・健康と医療におけるプライバシー強化技術と合成データに関するパイロットプロジェクトの実行
・AIが労働力に与える影響に関する共同研究
・量子情報科学技術に関する専門家タスクフォースの設立、および標準・知的財産・輸出管理関連問題への関与
・米国とEUにおける電気自動車普及に向けた充電インフラへの政府支援のための共同提言、および将来の「電気自動車と電力網の統合（Vehicle to Grid Integration）」の公的実証に関する提言
・積層造形、プラスチックのリサイクル、デジタルIDに関する標準化協力の強化、およびポスト量子暗号と国際的なサイバーセキュリティ標準に関する新たなワークストリームの立ち上げ
・国際標準化活動に関する情報共有と共通戦略的課題の対処に向けた「戦略的標準化情報（Strategic Standards Information）」メカニズムの展開

③レジリエントな半導体サプライチェーンの構築
・サプライチェーンの混乱に対処し、緩和するための早期警告システムの制度化
・それぞれの政府が支援する半導体関連プログラムに関する情報交換と市場理解の強化

④オンラインによる我々の価値観の普及
・「インターネットの未来に向けた宣言（Declaration for the Future of the Internet）」の原則の推進
・世界の人権擁護者支援において米国とEUがそれぞれ資金提供する緊急メカニズム間の協力関係深化
・市民社会およびオンライン・プラットフォームとの協力に基づく、第三国におけるロシアによる情報操作および干渉に関する評価
・インターネット遮断とその社会への影響を迅速かつ包括的に記録する、技術専門家からなるマルチステークホルダー・グループの創設
・技術プラットフォーム・ガバナンスに関する情報交換

⑤貿易・安全保障・経済繁栄の強化
・政府との取引の簡素化およびコスト削減のためのデジタル技術活用促進
・「相互認証協定（Mutual Recognition Agreement）」の適用拡大や他の適合性評価による貿易の拡大検討
・デュアルユース品目・技術の輸出および再輸出に関する大西洋横断貿易の簡素化に向けた予備的交渉
・中国の非市場的政策と慣行が米国およびEUの医療機器企業に与える影響をより良く理解し対処するための情報交換
・経済的威圧の特定・対処と、他の同志国も含めた協調の可能性模索

⑥貿易に関連する環境、労働、健康への取組みの支援
・貿易と環境の持続可能性を確保しながら、貿易と投資を拡大するための「持続可能な貿易に関する大西洋横断イニシアチブ（Transatlantic Initiative on Sustainable Trade）」の立ち上げ
・データ保護の法的要件を備えた公衆衛生の研究とイノベーション促進のための情報交換
・企業、労働者、訓練提供機関などの民間および政府のリーダーを結集した「成長のための人材タスクフォース（Talent for Growth Task Force）」の設立

[DW編集局]