[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州理事会
元記事公開日:
2023/01/10
抄訳記事公開日:
2023/01/27

EU-NATO協力に関する共同宣言

Joint Declaration on EU-NATO Cooperation

本文:

(2023年1月10日付、欧州理事会の標記発表の概要は以下のとおり)

2023年1月10日、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、一層の連携強化を明記した共同宣言に署名した。以下にその内容を示す。

1)NATOとEUの戦略的パートナーシップは、共通の価値観、共通の課題に取り組む決意、欧州・大西洋地域の平和、自由、繁栄を促進し、守るという明確なコミットメントに基づいている。
2)今日、我々は欧州・大西洋安全保障に対する過去数十年で最も深刻な脅威に直面している。ウクライナに対するロシアの残虐な戦争は、国際法と国連憲章の原則に違反しており、欧州と世界の安全保障と安定を損なうものである。ロシアの戦争は、世界中の何十億もの人々に影響を与える食糧とエネルギーの危機を悪化させている。
3) 我々は、ロシアの侵略を最も強い言葉で非難する。ロシアは直ちにこの戦争を止め、ウクライナから撤退しなければならない。我々は、ウクライナとの全面的な連帯を表明し、国際的に認められた国境内におけるウクライナの独立、主権、領土保全に対する揺るぎない継続的な支持を改めて表明する。我々は、ウクライナの自衛権と自らの運命を選択する固有の権利を全面的に支持する。
4)権威主義者は、政治、経済、技術、軍事などのさまざまな手段を用いて、我々の利益、価値観、民主主義の原則に挑戦する。
5) 我々は、戦略的競争が激化する時代に生きている。中国の自己主張と強硬な政策の高まりは、我々が対処しなければならない課題を提示している。
6) 欧州の近隣地域における持続的な紛争、脆弱性、不安定性が、我々の安全保障を弱体化させ、戦略的競争相手やテロリスト集団が影響力を得て、社会を不安定化し、我々の安全保障に脅威を与える温床となっている。
7) 「NATO戦略概念」と「EU戦略的コンパス(羅針盤)」の両方で強調されているように、これは欧州・大西洋間の安全保障と安定にとって重要な分岐点であり、これまで以上に大西洋両岸の絆の重要性を明確に示し、EU-NATO間のより緊密な協力が求められている。
8) NATOは、依然として同盟国の集団的防衛の基盤であり、欧州・大西洋の安全保障に不可欠である。我々は、世界および大西洋両岸の安全保障に積極的に貢献し、NATOを補完し、NATOと相互運用可能な、より強力で能力の高い欧州防衛の価値を認識する。
9)相互に強化し合う戦略的パートナーシップは、欧州およびそれ以外の地域の安全保障強化に貢献する。NATOとEUは、国際平和と安全保障を支える上で、補完的で一貫性があり、相互に強化する役割を果たしている。我々は、10 億人の市民の利益のための共通の目標を追求するため、政治的、経済的、軍事的かを問わず、我々が自由に使える手段をさらに動員する。
10) 20年以上前に確立された我々のパートナーシップの幅と深さを大幅に拡大した2016年のワルシャワ共同宣言と2018年のブリュッセル共同宣言を基礎として、我々は、協力の全ての分野において前例のない進歩を達成した。
11) 我々は、ハイブリッド脅威とサイバー脅威への対抗、海事洋問題、軍事機動性、防衛能力、防衛産業・研究、演習、テロ対策、パートナーの能力構築に関する作戦協力において、具体的な成果を挙げてきた。
12)我々が直面している安全保障の脅威と課題は、その範囲と規模が拡大しているため、長年にわたる協力を基礎として、パートナーシップを次のレベルに引き上げる。我々は、既存の領域における協力をさらに強化し、特に激化する地政学的競争、強靭性の問題、重要インフラの保護、新興技術及び破壊的技術、宇宙、気候変動の安全保障への影響、並びに外国による情報操作及び干渉に対処するべく、協力を拡大、深化させる。
13)この宣言に署名するにあたり、我々は、すべてのNATO同盟国及びEU加盟国との緊密な協議及び協力の下、全面的な相互開放の精神に則り、それぞれの組織の自主的な意思決定に従い、各加盟国の安全保障と防衛政策の固有の特性を損なうことなく、NATO-EU間のパートナーシップを前進させる。この状況において、透明性が極めて重要であると考えている。我々は、EUに加盟していないNATO同盟国に対して、EUの取り組みに最大限参画することを奨励する。同様に我々は、NATOに加盟していないEU加盟国に対して、NATOの取り組みに最大限参画することを奨励する。
14)我々は定期的に進捗状況を評価する。

[DW編集局]