[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防総省(DOD)
元記事公開日:
2022/12/01
抄訳記事公開日:
2023/02/01

国防長官、戦略的資本局(Office of Strategic Capital:OSC)を設置

Secretary of Defense Establishes Office of Strategic Capital

本文:

(2022年12月1日付、国防総省(Department of Defense:DOD)の標記発表の概要は以下のとおり)

ロイド・ジェームス・オースティン3世国防長官は、本日、民間の資本提供者との提携により永続的な技術的優位性の確率を支援する組織として、「戦略的資本局(Office of Strategic Capital:OSC)」を国防総省内に設置した。

OSCは、国家安全保障上不可欠な重要技術を開発する企業と資本とを結びつけようとするものである。先端材料、次世代バイオテクノロジー、量子科学などの重要技術は、「死の谷」と呼ばれる研究と本格生産の間の大きな隔たりを埋めるために長期的な資金調達を必要とする。

こうした技術を持つ企業は、長期にわたる「忍耐強い資本(patient capital)」の供給が限定されており、連邦政府の研究助成金や契約によって開発された技術であっても、結果的に技術を軍事実戦能力にまで移行させることができない。こうした技術の多くは将来の防衛能力に不可欠であるが、国防総省が直接購入するものではないため、既存の調達プログラムではそうした企業の当面の資金需要に対応できない。

OSCは、重要技術を持つ企業が利用できる資本量を増やすため、政策、買収、研究などの各分野にわたる取組を行う。また、戦略的競争相手が自らの技術目標を推進するために米国資本市場を利用する非市場的な行動への対抗も支援する。

OSCは、研究・工学担当国防次官(Under Secretary Defense for Research and Engineering)を支援し、既に重要技術開発支援プログラムを遂行しているイノベーション組織を補完する。また、大規模生産到達に向けた支援として重要技術企業の利用可能な資本を増やすことにより、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency)などの科学技術に重点化した組織と国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit)などの商業化を指向する組織の間で投資を拡大することを目指す。

既存の局は資本展開に際して助成や契約に依存しているが、OSCは融資や融資保証などの政府調達に基づかない(non-acquisition-based)手段の活用を模索する。他の多くの連邦政府機関は、信用プログラムを使用し、融資、融資保証、開発資金、その他の手段で資本市場に参加している。 この種の連邦政府の投資は、これまでApple、Cray Research、Sun Microsystems といった企業を開発初期段階で支援する上で必要不可欠であった。OSCは、実績ある信用プログラムを活用し、サプライチェーンに対する官民の戦略的投資を行い、重要技術を持つ企業を初期段階からフル生産まで支援するという点において、DOD内でもユニークな存在である。

[DW編集局]