[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
環境・食糧・農村地域省(Defra)
元記事公開日:
2023/01/09
抄訳記事公開日:
2023/02/06

食料安全保障、貿易、植物防疫衛生を守る新たなバイオセキュリティ戦略

New biosecurity strategy to protect food security, trade and plant health

本文:

(2023年1月9日付、環境・食糧・農林省(DEFRA)の標記発表の概要は以下のとおり)

本日DEFRAは、森林委員会、スコットランド政府、ウェールズ政府との協力のもと、植物を害虫や病気から守るための新たな行動計画を発表した。

「英国の植物バイオセキュリティ戦略」は、植物衛生に関する5年間のビジョンを定めており、国のバイオセキュリティの確保、在来種の保護、経済成長促進のための行動計画で構成されている。これは、英国を植物バイオセキュリティの世界的リーダーとして位置付け、食料安全保障の確保と気候変動の影響緩和に役立つ、新たなバイオセキュリティ体制とバイオセキュアな植物のサプライチェーンを構築するという英国のビジョンを示している。本計画は、植物が英国に年間157億ポンドの価値をもたらしているとの最新のデータを受けたものである。

具体的な施策には、動植物衛生庁(Animal and Plant Health Agency:APHA)のインターネット取引部門を拡大して、危険性の高い植物製品の取引に関するオンライン小売業者やソーシャルメディアサイトの監視を強化し、壊滅的な被害をもたらす可能性のある害虫や病気が国内に侵入するのを阻止することが含まれる。さらに、この戦略は、DEFRA、王立園芸協会(RHS)、全国農業者組合、ウッドランド・トラスト(森林保護団体)など30を超える加盟組織が、「植物衛生公衆関与協定(Public Engagement in Plant Health Accord)」 を通じて、社会全体で行動を変革する野心的なプログラムの実施方法を定めている。この他に類を見ない集団的取り組みは、バイオセキュリティに関する国民的な対話を開始し、樹木や植物の健全性を守るために市民ができる行動を促進する。

英国の植物バイオセキュリティ戦略ではまた、現在、バイオセキュリティに対する潜在的な脅威となる1,200の害虫と病気を掲載している「英国植物衛生リスク登録簿」の強化により、植物衛生に対する複雑で累積的なリスク把握を向上させる方法も設定する。その一環として、一連の新しい植物衛生ITシステムにより、発生への備えと緊急対応を強化する。

本戦略には、英国植物衛生連合と協力して、園芸分野で活動する種苗場、企業、慈善団体にバイオセキュリティ認証を提供する「プラント・ヘルシー(Plant Healthy)認証制度」の新規5か年ロードマップの作成も含まれている。ヨークシャーのRHS庭園ハーロウ・カー(Harlow Carr)は、植物の害虫、病気、侵入種の持ち込みと拡散を防ぎ、植物の健康を促進する取り組みが認められ、イングランド初のプラント・ヘルシー認証を受けた公共庭園となっている。

この戦略はまた、高水準のバイオセキュリティを維持するために我々全員が果たすべき役割と責任を強調している。たとえば、海外から植物、樹木、果物、種子を持ち帰らないことの重要性などである。

[DW編集局]