[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国航空宇宙局(NASA)
元記事公開日:
2022/12/16
抄訳記事公開日:
2023/02/09

NASA、地球の水を調査する国際ミッションを開始

NASA Launches International Mission to Survey Earth’s Water

本文:

(2022年12月16日付、米国航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)の標記発表の概要は以下のとおり)

本日、SWOT(Surface Water and Ocean Topography/表層水および海洋地形)探査機を搭載したロケットが、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた。

SWOTはNASAとフランス宇宙機関CNES(Centre National d’Etudes Spatiales)によって、カナダ宇宙庁(Canadian Space Agency:CSA)や英国宇宙庁(United Kingdom Space Agency)の協力の下で共同開発されたもので、湖、川、貯水池、海などの標高測定を行いながら地球表面のほぼ全ての水域を観測する初めての衛星ミッションである。

SWOT探査機の主な使命は、今後3年間に地表の90%以上における淡水域と海域の標高を測定することである。これにより海が気候変動に与える影響、地球温暖化が湖、川、貯水池に与える影響、地域社会が洪水などの災害に備える方法に関する知見が得られる見込みである。

SWOT探査機はロケットから分離されて後に良好な状態が確認されており、今後約6か月間にわたり科学データ収集開始前の一連の点検・調整が行われる。その後で、探査機は少なくとも21日に1回、南緯78度から北緯78度までの地球表面全体を観測し、1日あたり約1テラバイトの生データを送信することになっている。

SWOTミッションがもたらす多くの利点の1つは、地球の淡水域を従来よりもはるかに明確に把握できることであり、世界の62,500平方メートル以上の湖および幅100メートル以上の河川に関しその95%以上についてデータを提供する予定である。現在、信頼できる測定値を得られる世界の淡水域は数千の湖に過ぎず、本ミッションはその数を数百万に押し上げることになる。

SWOT探査衛星は、海岸沿いの海面に関する情報を提供し、潮位計や他の海面高度測定機器がない地域のデータ空白を埋めることができる。将来これは地域社会や沿岸の生態系に直接影響を与える海面上昇をより正確に追跡するのに役立つ。

このような野心的なミッションは地球とその気候を研究するために世界中の機関と協力するNASAの長年の取組により可能となった。NASAとCNESは、海洋モニタリングのために1980年代に始まった協力関係を数十年にわたって築いてきている。

SWOT探査衛星による測定は、研究者、政策立案者、資源管理者が、洪水や干ばつなどについてより適切に評価や計画するのにも役立つ。水がどこから来てどこへ行くのかという情報を提供することで、研究者は河川の洪水予測を改善し、湖や貯水池への干ばつの影響をモニタリングすることができる。

[DW編集局]