[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構(UKRI)
元記事公開日:
2023/01/12
抄訳記事公開日:
2023/02/17

研究・イノベーションに対する二元的資金提供

Explainer: dual support funding for research and innovation

本文:

(2023年1月12日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記解説書の概要は以下のとおり)

1. 高等教育機関がUKRIから資金提供を受ける方法

英国の大学は、次の組み合わせを通じて、研究・イノベーションのための公的資金を幅広く受けることができる。

・プロジェクト別助成金
・戦略的機関別資金提供

これらの2つの補完的な資金提供の仕組みは、二元支援制度「デュアル・サポート・システム」として知られている。

1-1.プロジェクト別助成金

大学はUKRIに対して、分野別の研究会議を通じて、プロジェクト別の助成金を申請することができる。本助成金は、専門家の審査に基づき確立されたプロセスを通じて、競争的に割り当てられる。この助成の目的は次のとおりである。
・世界クラスの研究アイデア、研究チーム、研究機関の支援
・新たな研究者の自立支援
・自立した研究者のさらなる研究発展、あるいは新たな方向性探求の支援
・中核的施設の整備、国際施設へのアクセス提供
・国の優先課題に沿った研究の実施
・企業先導研究と学術界研究基盤の協力促進と両者の強化
・革新的な研究や新興技術の実用化推進と、ビジネスの枠を超えた幅広い連携の支援

さらに大学は、ビジネスに焦点を当てたイノベーションを進めるため、Innovate UKのプロジェクト基金に応募することができる。

研究会議のプロジェクト基金は、研究活動の全費用の最大80%までカバーするが、Innovate UKの助成金についても同様の取り決めがある。残りの費用については、大学側が戦略的機関資金で補完できる。

1-2. 戦略的機関資金提供

この資金は、個々のプロジェクトではなく、研究機関に対する包括的助成資金「ブロック・グラント」として提供される。この資金の大半は、公的な方法で配分される。

各大学は、英国の4つの高等教育資金提供機関のうちの1つから、包括的助成金を受け取る。4機関とは、北アイルランド経済省、ウェールズおよびスコットランドの高等教育財政会議、そしてUKRIの一部であり、イングランドでこの活動を行っているResearch Englandである。

Research Englandが研究および知識交流のために提供する戦略的機関別包括的助成金は、それぞれ「質関連研究(QR)資金」および「高等教育イノベーション基金(HEIF)」 と呼ばれている。

研究および知識交流の実績データに基づいて配分されるこの資金は、イングランドの大学が、それぞれの戦略課題に資する研究および知識交流活動のために柔軟に使用することができる。

QR資金は、研究の質が最も高いところに提供できるよう、個々の分野の研究の質、量、相対的なコストに基づいて、大学に割り当てられる。研究の質は、「研究評価制度(Research Excellence Framework:REF)」として知られる定期的な調査で測定される。QR資金は、大学が独自の研究の優先順位に従って柔軟に使用できる。

HEIFは、英国全体のHESA知識交流調査(HEBCI調査)からのパフォーマンスデータ、その中でも主に経済・社会への効果を計る指標として知識交流収入(knowledge exchange income)に基づいて、大学に割り当てられる。HEIFは、政府の優先課題と大学の知識交流戦略目標に沿って、大学の知識交流活動に資金提供を行う。それは、大学の知識と企業・公的機関・第三セクター・地域団体・一般市民との結びつきを強めることで、学外の経済・社会的な便益を図ることを目的としている。

スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおいても、同様の高等教育機関への資金提供支援制度がある。

2. 包括的助成金の使途

大学は、その使命と目的に沿って、包括的助成金を自らの判断によって、柔軟かつ戦略的に使用することができる。包括的助成金の総額は、毎年比較的安定しており、大学は長期的な優先課題を設定し、自主的な判断で優れた研究や知識交流活動の環境を整えることができる。

[DW編集局]