[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2023/01/10
抄訳記事公開日:
2023/02/17

NASEM、孔子学院受け入れ大学へのDODの資金提供基準を提案

New Report Proposes Criteria the Department of Defense Could Use to Determine Whether a College or University that Hosts a Confucius Institute May Receive DOD Funding

本文:

(2023年1月10日付、全米アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

このたびNASEMは、孔子学院(Confucius Institutes:CI)をキャンパス内に受け入れている大学が国防総省(Department of Defense:DOD)の資金援助を受けることを可能にする免除手続きを策定するにあたり、DODが検討すべき基準を提案する報告書を発表した。

CIは中国政府が資金提供する言語・文化センターであり、世界中に点在している。2000年代後半から2010年代初頭にかけて、100を超える米国の大学がキャンパス内にCIを受け入れた。学問の自由や表現の自由への侵害、スパイ行為、および知的財産の窃取の可能性があるとの議会の度重なる懸念表明は、2019年度国防権限法と相まって、国内で数十のCIの閉鎖をもたらした。本報告書を作成した調査委員会は、2022年12月現在、7つの大学でCIが活動中で、そのうち2つがDODから科学研究費の助成を受けていると認識している。

この調査は、2021年度国防権限法に対応して実施された。本法はCIを受け入れている大学がDODの助成を受けることを禁じる条項を含むが、DODはNASEMとの協議の後にこの制限を免除することを認めている。

この報告書は、CIが米国の大学に対して、中国語と中国文化についての教育能力構築のための資金やその他のリソースを提供する一方で、学問の自由、表現の自由および国家安全保障に関わる新たなリスクを大学にもたらしたと指摘している。しかし委員会はCIによるスパイ活動や知的財産の窃取への関与について機密扱いでない証拠を得てはいない。

報告書は、DODが大学にてリスクが理解され適切な予防措置がとられているかを評価し、CIを受け入れる大学に[助成禁止の]免除を与えるべきかどうかの判断に使用できる条件として、以下を示している。

▽CIが当該大学によって正式に設立されたセンターや研究所であり、それによってCIが、教職 員・学生の行動規範や、米国の研究機関における重要な価値観を大学内の組織が支持することを求める権限共有文書(shared governance documents)に定められたすべての方針や手続きに従わねばならないことを証明すること。
▽情報、データ、物理的な、および研究上のセキュリティに関するDODの要件をすべて満たすことを証明すること。
▽CIのカリキュラム、教員、教科書、教材、プログラムの決定および研究助成金に関わる統制を完全に掌握していることを証明すること。
▽CIの設立や運営に関わる契約、その他の合意文書において、当該大学のキャンパスにおけるCIの運営に外国法の適用が求められないことを保証すること。
▽CIに対する適切な信用上および財務上の監督が行われることを証明すること。

委員会は、DODが2024会計年度からの実施に向けて免除基準の検討、手順の策定を行う際は、政府以外にも、産業界、各大学関連協会、大学など、外部の主要組織から意見を求めることを奨励している。

本調査は、「米国の大学における孔子学院に関する委員会(Committee on Confucius Institutes at U.S. Institutions of Higher Education)」によって実施され、DODが後援した。

[DW編集局]