[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国研究・イノベーション機構(UKRI)
元記事公開日:
2023/01/13
抄訳記事公開日:
2023/02/24

ジレンマ状態のHorizon Europeへの参加

The catch-22 with funding and Horizon Europe

本文:

(2023年1月13日付、英国研究・イノベーション機構(UKRI)の標記発表で、UKRIプログラム・ディレクタのマーク・ブラッドリー氏は以下のように述べた)

2021年5月に発効したEU・英国貿易協力協定の下で、英国の955億ユーロのHorizon Europe研究プログラムへの参加は合意されている。しかし、この研究プログラムへの英国の参加に関する議定書は、草案のままであるため、参加できないでいる。我々は、参加を想定しながら、実現出来ていないという様相を呈している。

■研究者にとって救われない二重状態

欧州委員会は、英国のHorizon Europeへのアソシエート参加に関する議定書の採択を、EU離脱協定の北アイルランド議定書の実施をめぐる意見相違の解決に連動させている。英国政府が取れる次のステップは、Horizon Europeをめぐる論争を仲裁に持ち込むことであるが、このプロセスは、最大130日から160日かかる。仲裁が開始されたとの発表はないので、少なくとも2023年4月中旬までは、参加は合意されているものの、実際には参加できないということになる。この二重状態は、政治的にも難問だが、より重要なことは、英国および英国外の研究・イノベーション・コミュニティにとって救いのない状態だということである。

■政府は多額の投資を約束

政府は、EUのパートナーと行う研究に多額の投資を行うことをコミットしている。ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は、「EUプログラムへの英国の貢献」として、68億ポンドを割り当てている。今会計年度とその後の2年間の歳出計画期間中の多額の資金についての話である。政府は昨年10月、この68億ポンドは、「別枠で確保」されており、参加が実現しない場合、その全額が「プランB」の助成に使われることを確認している。

■資金保証により、助成金は5億ポンドに達した

この資金を、Horizon Europeの事案ではなく、国内の事案に支出することは可能であり、実際それは政府の資金保証を通じて、ある程度行われている。この保証は、Horizon Europe採択対象者が、「EUプログラムへの英国の参加が正式決定されるまではEUとの助成金契約に署名できない」場合に利用できる。関係者は多大な努力を払い、これまでに5億ポンド以上の助成金を交付してきた。我々が長期的な解決策を模索している間は、引き続きこれが代替案となる。しかし、それがすべてではない。もし参加が実現するのであれば、その時点から、Horizon Europeの資金として利用できるようにしなければならない。

■解決に向けた作業は進行中

こうした状況を解決するため、また、最終的に参加しないことになった場合でも、研究開発投資によって、人材確保・国際性・利用者訴求性のイノベーション・スキームを包括する、いくつかの素晴らしい代替案を確実に準備するために、膨大な作業が行われている。

[DW編集局]