[本文]
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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府
- 元記事公開日:
- 2023/01/25
- 抄訳記事公開日:
- 2023/03/02
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全米科学アカデミーによるマクロ経済および気候関連のリスクと機会に関する円卓会議
- 本文:
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(2023年1月25日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり)
今週、大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers:CEA)、大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)、およびその他のバイデン政権の高官が、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:NASEM)が招集した「マクロ経済および気候関連のリスク・機会に関する円卓会議」の執行委員会(Executive Meeting)に出席した。この円卓会議の目的は、気候変動の物理的・推移的な影響がマクロ経済のパフォーマンスにどのように関連し影響を与えるかについての理解を深めることであり、財政、通貨、および金融の安定化政策への影響についても調査することにある。会議には、気候変動、マクロ経済モデリング、および公共政策の交点に着目する数十人の学者や政策立案者が参加した。
バイデン大統領は、気候変動がもたらす深刻な課題に対処するためには、迅速かつ大胆な行動が必要であると認識しており、2050年までにネットゼロ経済へ迅速に移行するという野心的な目標を設定している。この取り組みを遂行するため、「気候関連の財務リスクに関する大統領令」は、CEAとOMBに対し、連邦が気候関連の財務リスクにさらされる主な原因を特定し、大統領予算における経済的前提と長期予測に潜む気候リスクを定量化する方法を開発するよう求めていた。CEAとOMBはこの目的のため、2つの評価報告の公表により*、史上初めて連邦予算に気候変動についての説明を盛り込んだ。さらにOMBとCEAは、気候変動の広範な経済的影響のより良いモデリングが、気候変動や気候変動対策による経済的・財政的影響の定量化に役立つことを概説した白書を公開した。こうした進行中の分析は、新たな組織横断的な省庁間技術作業部会(ITWG:Interagency Technical Working Group)によって支援されている。
円卓会議は、マクロ経済予測における気候変動リスクを解釈する上で不可欠な要素である。2022年10月に開催された円卓会議の発足会合における議論に基づき、第一回目となる今回の公開執行委員会では、学者と政策立案者が一堂に会してユーザーの能力とニーズを特定したほか、現行モデリングツールの課題や限界を認識した上で気候変動影響のマクロ経済モデルへ組み込む機会について議論し、さらに、社会経済的公平性を考慮しながら気候リスクに対処するために利用可能な政策手段を評価し、来年の行動計画を策定した。ITWGが連邦政府の既存の専門知識とリソースを活用して気候リスクを大統領予算に反映させる方法論を開発するという短期的な取り組みを進める一方で、円卓会議での議論は長期的取り組みへの指針を示し、短期的アプローチを改善するための新たなツールやモデルを提供する。
[*編集局注:元記事にはこれら2つの評価報告とは、ひとつは「気候変動リスクにさらされる連邦予算(Federal Budget Exposure to Climate Risks)」であり、もうひとつは「長期財政推計(Long-Term Budget Outlook)」における気候変動に関する章の追加である旨が記されている。ただし、前者のタイトルを冠した文書はウェブ検索において見つけることができず、OMBによって大統領予算教書とともに発表される「分析的展望編(Analytical Perspectives)」の2023年版21章「Federal Budget Exposure to Climate Risk」がこれに該当するのではないかと推測された。]
[DW編集局]