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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国立科学財団(NSF)
- 元記事公開日:
- 2023/01/30
- 抄訳記事公開日:
- 2023/03/13
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NSF傘下のNCSESがSTEM人材の多様性に関する報告書を発表
NSF's NCSES releases report on diversity trends in STEM workforce and education
- 本文:
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(2023年1月30日付、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)
本日、NSFの一部である国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、STEM分野の雇用と教育における多様性の傾向に関する連邦政府の最新かつ最も完全な分析結果を記した報告書「多様性とSTEM:女性、少数民族、障がい者2023(Diversity and STEM: Women, Minorities, and Persons with Disabilities 2023)」を発表した。本報告書によると、過去10年間に、より多くの女性、黒人、ヒスパニック、アメリカンインディアン、アラスカ先住民によるSTEM分野の仕事に就き、労働力の多様化が進み、科学・工学分野でより多くの学位を取得したことが示された。しかし、これらのグループは、全米平均と比べると、依然としてSTEM分野での存在感が薄く、米国が直面する公平性上の大きな課題となっている。本報告書は、このシリーズで初めて、STEM分野の労働力の半分でしかない学士号を必要とする職業以外にも目を向けている。
本報告書によると、現在、STEM分野の労働力には、1,230万人の女性(STEM分野の労働力の35%)、830万人の過小評価少数民族グループのメンバー(24%)、100万人の障がい者(3%)が含まれている。女性とヒスパニック系は、STEM分野の労働力における代表性の向上と高等教育への参加という点で、過去10年間に大きな進歩を遂げているが、すべてのSTEM職業や分野に普遍的なものではない。また、大卒でなくても就けるSTEM分野の仕事では、少数民族が労働力の3分の1を占めているが、これらの職種はSTEM分野の中で最も給与が低く、失業率が高い傾向にある。また、次のような事項が明らかになっている。
1.理工系学士号と準学士号の取得者の半数は女性である(50%)。女性はSTEM分野の労働者の約3分の1 (35%)を占め、その賃金は一貫して男性より低い。
2.ヒスパニック系や黒人だけではなく、女子学生も、COVID-19の流行拡大中に科学・工学分野で学士号より上の学位を取得する人が増え続けている。
3.ヒスパニック、黒人、アメリカンインディアン、アラスカ先住民は、合わせると2021年には米国人口の31%を占めたが、STEM労働者人口では24%に過ぎない。彼らは、学士号以上の教育を必要とする職種よりも、技術的なスキルや資格を必要とするSTEM職種に就く傾向が大きかった。
4.ヒスパニック、黒人、アメリカンインディアン、アラスカ先住民のSTEM労働者は、白人やアジア人のSTEM労働者よりも年収の中央値が低い。
5.ヒスパニック系の学生は、科学・工学分野の準学士号取得で大きく前進した。ヒスパニック系の学生が取得した学位の総数は2011年から2020年の間に3倍になり、科学・工学分野の準学士号取得者に占める割合は32%になった。STEM分野のヒスパニック系労働者の3分の2近く(63%)が4年制大学の学士号を必要としない職業に就き、その4分の1近く(24%)を占めている。
6.黒人およびヒスパニックのSTEM労働者の2021年の失業率はそれぞれ6.6%および5.7%であり、白人(2.9%)とアジア人(2.3%)のそれよりも高かった。
7.アメリカ・インディアンおよびアラスカ・ネイティブの学生が取得した科学・工学分野の学士号は、2011年から2020年にかけて、取得数および全学位に占める割合のいずれにおいても減少した。
8.少なくとも1つの障がいを持つ労働者のうち、2021年には21%がSTEM職種に従事し、STEM労働者の3%が障がい者であった。
9.2021年の科学・工学博士号取得者のうち、11%が少なくとも1つの障がいを有すると報告した。 [DW編集局]