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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2023/02/21
- 抄訳記事公開日:
- 2023/03/20
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次世代EU:「復興・強靱化ファシリティ」は、引き続きEUのグリーン・デジタル変革の中心的な推進力
- 本文:
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(2023年2月21日付、欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
欧州委員会は本日、8,000億ユーロ規模の欧州復興計画、「NextGenerationEU」の中核をなす重要な制度である、「復興・強靱化ファシリティ(RRF)」の創設2周年を記念する通達を採択した。この通達は、加盟国におけるグリーン・デジタル改革と投資に対するRRFの前例のない振興策を通じて、これまでに達成された具体的な成果を評価するものである。また、各国の復興・強靭化計画の継続的な成功を支援するためのさらなるステップについても概説している。
■新たな課題に取り組みながら、パンデミック後の復興を支援
2年前の創設以来、RRFは加盟国の経済に変革をもたらしてきた。たとえば、イタリアの民事・刑事司法制度の改革、スペインの労働市場改革、ラトビアの手頃な価格の住宅供給改善、ギリシャの洋上再生可能エネルギーへの投資促進、ポルトガルの学校と企業のデジタル化実現、などである。
これらの変革は、改革や投資に関する各国の計画を、共通の優先課題や資金と組み合わせたRRF独自の制度設計によって実現されている。加盟国の復興・強靭化計画を見ると、2030年までに温室効果ガス排出量を少なくとも55%削減することを目的とした措置に、総配分額のうち約2,030億ユーロが寄与していることがわかる。約1,310億ユーロが、欧州の経済と社会をデジタルに変革するための措置に貢献している。約1,380億ユーロは、次世代のための社会支出と政策に充てられている。
RRFは、各加盟国が進める改革が、復興・強靭化計画や、その他のEU基金、国家基金、そして決定的に重要な民間部門が推進するその後の投資の土台となる、という変革の好循環を生み出している。中期的には、NextGenerationEUの資金提供による投資が、2024年にEUのGDPを約1.5%押し上げ、雇用創出をさらに促進する可能性があると、欧州委員会は推測している。
RRFは、COVID-19危機を契機に、加盟国の経済的・社会的復興を支援するために設立された。現在、RRFの実施は、ウクライナに対するロシアの侵略戦争、高インフレ、エネルギー危機といった、まったく異なる状況下で行われている。この絶え間なく変化する環境に対して、RRFは非常に機敏に機能するツールであり、新たに出現する多くの課題に対処できることを証明した。
■EUの優先事項を実現する施策の加速
現在までに、欧州委員会はRRFの下で、助成金(960億ユーロ)と融資(480億ユーロ)を含む1,440億ユーロ強を支出した。RRFの存続期間の後半に向けて、さらに多くの支出が期待されている。
2023年の春には、加盟各国は世界的なエネルギー危機に共同で対応するため、各国の復興・強靭化計画をREPowerEUで補完することが期待されている。新規または規模を拡大した改革や投資は、RRFの最大2,700億ユーロという強化された財政力によって資金支援を受け、加盟国がロシアの化石燃料への依存から速やかに脱し、クリーンエネルギーへの移行を加速させることが可能となる。REPowerEU主導の改革と投資はまた、欧州グリーンディール産業計画によって予見される相乗効果も実現させる。
■効率性と予測可能性の向上のための透明性とステークホルダー・エンゲージメントの強化
欧州委員会は常に最大限の透明性を目指して努力しており、この目的のために「復興・強靭性スコアボード」を設置し、加盟国による支出と進捗状況に関する情報をリアルタイムで提供している。
REPowerEU規則では、各国計画における最大の最終受益者100名に関する情報を公開するよう加盟国に要求することにより、透明性をさらに高める。また、特にREPowerEU各支部の準備段階で、地方自治体や社会的パートナーに焦点を当てて、関係者の役割を強化する。
今回の通告では、RRFに予測可能性と透明性を持たせる2つの実装ツールも紹介している。欧州委員会は、支払い要求を処理する際に、マイルストーンや目標の達成度を評価するための枠組みを共有する。また、加盟国が支払い要求に関連する重要な節目や目標を部分的に達成した場合に、停止される金額を決定する方法も公開している。
■次なるステップ
来年のRRFの中間評価は、RRFの実施による進捗や得られた教訓を評価する機会となる。
[DW編集局]