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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2023/02/14
- 抄訳記事公開日:
- 2023/03/29
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NASEM、高等教育機関における包摂性向上と差別・偏見の撤廃を求める報告書を発表
- 本文:
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(2023年2月14日付、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)
NASEMは、科学、技術、工学、数学、医学(STEMM)分野における多様性、公平性および包摂性を高めるために、高等教育機関およびSTEMM組織は単にマイノリティの人種および民族の参加人数を増やすことに焦点を当てるだけではなく、組織の文化と環境を変えるために行動すべきである、とする新たな報告書を発表した。
同報告書は、入学や参加への障壁を取り除き、帰属意識を高める取組を実施することによって、組織が単に参加人数を増やすことから、包摂性、繁栄、成功の文化を育む方向に舵を切ることができる、と述べている。組織は、権力と特権を白人に与える方針、慣例、文化を廃止するために、積極的かつ意識的な措置を講じるべきであるとしている。
マイノリティグループの人々の人口に占める割合は増加しているが、STEMMの教育とキャリアにおいては、同様の増加が見られない。その根本原因は個人の能力や興味にあるのではなく、マイノリティの人々は、STEMMキャリアにおけるアクセスや人口比に見合った参加者数、成長しようとする能力に悪影響を与える方針など、数多くの制度的な障壁に直面してきたのである。個人および個人間のレベルにおける人種的偏見も、マイノリティグループのSTEMMのキャリアを妨げている。
同報告書は、組織が個人・チーム・組織全体の各レベルにおいて下記のような変更を行うよう推奨している。
▽個人レベル
STEMM 組織の指導者や人事責任者など、組織のリソースへのアクセスを許可または制限する立場にある「ゲートキーパー(門番)」の行動パターンについて、説明責任を果たせるシステムを構築すべきである。採用、入学、昇進、昇格、身分保障、報奨金など、ゲートキーパーの意思決定時のデータを収集し、人種や民族に対する偏見のパターンを特定するデータを総合的に分析する必要がある。▽チームレベル
今日の科学は、様々な規模のチームにおいて訓練を受けたり協力しあったりする科学者たちに依存している。マイノリティの個人を含むすべてのチームメンバーがサポートされ、尊重されるポジティブな雰囲気を醸成できるようなチーム規範を意識的に策定し、全員が協力して共通の目標に向かって取り組む相互依存型のチームを作る必要がある。▽組織と指導者のレベル
指導者、特に組織の最上位にいる者は、規範、価値観、方針、慣行を(再)構築して組織の文化と風土を形成する機会を有している。大規模な変化を起こすため、指導者は、ゲートキーパー、リーダー、中間管理職、経営陣など、複数のレベルで組織改革に取り組む課題を適切なリソースとともに設定する必要がある。 [DW編集局]