[本文]
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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- マックスプランク協会(MPG)
- 元記事公開日:
- 2023/02/13
- 抄訳記事公開日:
- 2023/03/31
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Covid-19対策の評価:国民の行動変容と行動制限の効果
- 本文:
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(2023年2月13日付、マックスプランク協会(MPG)の標記発表の概要は以下のとおり)
新型コロナパンデミックから約3年、政治家も社会もいまだにウイルスへの対処方法について議論している。どの対策がどの程度有効であったのか、関連する社会的影響の観点から、何が正しかったのか。MPI教育研究所で実施された研究では、ロックダウンやその他の非医薬品介入(NPIs)など、初期のCovid-19対策の有効性を調査した。その結果は、将来のパンデミックに対処するための介入策の適切なバランス、特にワクチンが開発される前の重要な初期段階における介入策について、光を当てるものである。
MPI教育研究所のレオニダス・スピリオプロス(Leonidas Spiliopoulos)氏は、ロックダウンと他の非医学的介入(NPIs)がCovid-19の抑制と、死亡の低減に有効であったかについて調査した。この研究によって,パンデミックの動態にプラスの影響を与えた2つの重要な因子が明らかになった。一つは、パンデミックの深刻さに関する個人的な評価と、政策決定のシグナリング効果に基づく自発的な行動変容であり、もう一つは、他の多くの介入に見られた社会的な悪影響なしに、Covid-19感染の増加とそれに伴う死亡数の増加を大幅に減少させた包括的な検査介入である。
スピリオプロス氏は、2020年2月15日から2021年4月14日の間に収集された132か国のデータを分析した。データセットには、病気や死亡の確認例、移動データ、検査率、Covid-19 格度インデックス(Covid-19 Stringency Index)の情報が含まれている。彼は、「パンデミックの動態に対するこれらの措置のプラスの影響は、肉体的・精神的健康や経済的コストへの影響は最小限に抑えながら、現実的に達成可能な最大値に近いものであった」と述べた。
また、意外なことに、移動制限の効果は期待されたほどではなかったという結果も出ている。こうした結果が出た理由として、2つの可能性がある。一つは、家庭外でのウイルスの拡散は抑えられたかもしれないが、家族や同居人が一緒に過ごす時間が長くなったため、家庭内での感染は促進された可能性であり、もう一つは、行動変容(社会的距離を置く、マスクを着用する、より安全な代替交通手段に切り替えるなど)が十分に効果的であったため、人々は感染を大幅に増加させることなく、通勤を続け、他者との接触を制限できた可能性である。この研究は、この問題の複雑さと、政策措置の影響に関する仮説を実証的に検証する必要性を強調している。
さらにMPI教育研究所の適応合理性研究ユニットの部長であるラルフ・ヘアトヴィッヒ(Ralph Hertwig)氏は、次のように述べた:「パンデミックの初期には、Covid-19の感染と死亡率については多くの不確実性があったため、多くの国では、当初比較的制限的な政策を選択した」。このような背景から、将来、同様の発症率と死亡率を有するパンデミックに対処する場合、特にワクチンが普及する前の重要な段階で公共政策を立案する際には、この研究結果は有効に活用出来る可能性があると思われる。
[DW編集局]