[本文]
-
- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州先端工学教育・研究会議(CESAER)、欧州大学協会(EUA)
- 元記事公開日:
- 2023/02/22
- 抄訳記事公開日:
- 2023/04/04
-
CESAERとEUAによるHorizon Europeに関する共同声明
- 本文:
-
(2023年2月22日付、欧州先端工学教育・研究会議(CESAER)および欧州大学協会(EUA)の標記共同声明の概要は以下のとおり)
CESAERとEUAは、研究とイノベーションのための「EU枠組プログラム(EU Framework Programmes)」の主な受益者を代表する存在である。我々は、関係者コミュニティと協力してEUの資金提供プログラムを継続的に改善し、過去の経験から学ぶという欧州委員会の建設的かつオープンなアプローチを歓迎している。
しかし、我々両団体は、Horizon Europeの第二の柱の下にあるクラスター内の基礎研究プロジェクトと応用研究プロジェクトへの資金配分が、開発段階および実装段階にあるプロジェクトと比較して不均衡であることについて懸念を表明したい。
本プログラムの最初の2年間にHorizon Europeのクラスターで実施された公募を分析した結果、技術成熟度(Technology Readiness Levels:TRL)がレベル4までの公募の割合が、Horizon 2020での公募に比較して大幅に減少していることが判明した。これは、よりTRLの高いプロジェクトにより多くの資金提供を行う方向への大きなシフトであり、TRLが低いプロジェクトには不利な状況となっている。
■TRLがレベル4までの公募のシェアが大幅に減少
Horizon 2020の「社会課題および宇宙、ナノテク、ICT(情報通信技術)の2014〜2015ワークプログラム の下での公募を評価し、Horizon Europeのクラスター下での公募数と比較した。分析の結果、TRL1~4の公募の割合が大幅に減少していることが確認された。Horizon 2020の最初の2年間では、これらの公募の20%以上がレベル4までのTRLであったのに対し、Horizon Europeでは、3分の1(6ポイント)減少し、14%を下回った。TRL1~4の公募は、Horizon Europeでは193件中27件、Horizon 2020では338件中68件であった。
■これがなぜ問題なのか
その理由の主なものは以下のとおり:
・重要な変革の妨げとなる
欧州にとって、地域および世界の課題に取り組み、欧州グリーンディールやデジタル移行などの主要な公約を実行するには、「ルンド宣言(Lund Declaration)」に示されているとおり、すべてのTRLにわたる科学的・技術的な発展および強力な科学基盤と最先端研究が重要である。
・受益者間の協力を阻害する
TRL1~4での共同研究プロジェクトでは、大学、研究・技術機関、産業界のパートナー、その他の関係者間の協力が、基礎研究と社会における新しい科学技術の実装との間の重要な架け橋となる。
・ディープテックや重要技術における欧州のリーダーシップを阻害する
欧州が、特にディープテックや新興重要技術において世界の強力なプレイヤーとなれるかどうかは、ナレッジ・チェーン全体で多様な種類および成熟度の研究を結びつける能力にかかっている。■相互接続型に向かって
資金提供の不均衡という当面の問題に対処する必要性がある一方、TRLの概念を超える必要性についてもあらためて指摘する。CESAERとEUAは欧州委員会に対し、TRLの概念によって捉えられるような、イノベーションの単なる直線的な理解を超えて、イノベーションとそれらの相互関連を十分に考慮した、より現代的で洗練された方法へと移行する新たなアプローチを模索し、試験的に実施することを奨励する。その一例は、「KTHイノベーション成熟度方式(KTH Innovation Readiness Level approach)(https://kthinnovationreadinesslevel.com/)」である。
これを達成するため、我々は最新の方式の開発や試験運用を支援する用意がある。例えば、Horizon Europeの中間評価やその後継プログラムの設計に関連したパイロットアクションを通じてである。
[DW編集局]